自称週末ファーマーの国家試験受験記

自己啓発の延長なのか、自己実現の手段なのか、はたまた意地の張り合いか。生きているうちに“何か”を成し遂げたいから走り続けているような感じがする

経営法務【平成20年度 第11問】

【平成20年度 第11問】

A株式会社(以下「A社」という。)は、B株式会社(以下「B社」という。)から、携帯電話上に表示されるB社ホームページのサイト運営に使用する目的で、ソフトウエアに関する開発業務の委託を受け、新規にプログラミングをしたソフトウエアXを2000年12月15日にB社に納入し、その代金を受領した。

しかし、B社がA社に無断で、このXをB社ホームページのサイトから切り離して、パソコン上でも利用できるように改変したソフトウエアYを2007年12月から製造し、これをコピーして一般消費者に販売しているという事実が、最近、判明した。

A社・B社いずれにも、既に開発業務委託を受けた当時の詳細を知るものはおらず、開発業務委託契約についての書面も、2000年6月1日付けのB社からの簡単な発注書以外には残っていない。当該発注書には「使途:B社ホームページのサイト運営」との記載がある。

この場合、A社がとりうる手段について最も適切なものはどれか。

 

ア A社がXについて有する著作権のひとつである翻案権を根拠に、B社に対して

  Yの販売差止の請求をする。

イ A社がYについて有する著作権のひとつである複製権を根拠に、B社に対して

  損害賠償の請求をする。

ウ B社の秘密情報に関する秘密保持義務違反という債務不履行を根拠に、B社に

  対して損害賠償の請求をする。

エ ソフトウエアの開発委託については、著作権法の規定により、その著作権

  発注者(この場合はB社)に帰属することとされているので、B社に対してな

  んら請求することが出来ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一応、著作権関係の問題なんでしょうけど、翻案権とか複製権といった言葉が出てきています。結構難しい問題だと思いますけど・・・。

A社はソフトウエアXを製造した会社です。

B社はソフトウエアXを作るように依頼した側です。

当時の契約書が発注書以外残っていないことこそ問題ですよ(笑)

そもそもソフトウエアXを製造したのはA社ですからA社に著作権があると考えられます。ソフトウエアの販売は、著作権まで販売するのではなく、使用許諾を与えているだけですからね。

契約書も残っていないし、契約書を盾に不法行為で攻めることは出来なさそうです。ここは著作権法で攻めていくしかなさそうです。

選択肢を見ていきましょう。

アです。翻案権を根拠に、とあります。翻案とは一部改変することです。ソフトウエアXを改変し、ソフトウエアYを販売していますから販売差止の請求は出来そうです。翻案権を根拠に、という部分が気になりますので保留。

イです。今度は複製権とあります。複製とはそのまんまコピーすることです。ソフトウエアXを改変したのがソフトウエアYですからそのまんまコピーした訳ではなさそうです。ですので、複製権を根拠に損害賠償の請求は難しいかもしれません。

ウは契約書が残っていないのに、秘密保持義務違反をならしてもダメなんじゃね?

エは、ソフトウエアの開発委託では受託者側(つまりA社)に著作権があるとされます。ですので、エの記述は不適です。

したがって、消去法により、ア が正解。