経営法務【平成25年度 第16問】
【平成25年度 第16問】
法の適用に関する通則法の下で、準拠法に関する記述として最も適切なものはどれか。
ア 債権譲渡の債権者その他の第三者に対する効力は、債務者の住所地法が準拠
法となる。
イ 日本に事務所のある外国法人と従業員との雇用契約に当該外国法を準拠法と
する規定がある場合、当該従業員に日本の労働基準法の規定の適用は認めら
れない。
ウ 日本に事務所のある外国法人と日本の消費者との契約の約款に当該外国法を
準拠法とする規定がある場合、日本の消費者に日本の法令によるクーリング
オフは認められない。
エ 法律行為の成立及び効力は、当事者による選択がなければ、当該法律行為当
時において当該法律行為に最も密接な関係がある地の法が準拠法となる。
論点は準拠法です。なかなか時間的余裕がないのでこのあたりまでしっかりと内容を押さえることは難しいと感じていました。
準拠法の決定は原則的には当事者間で準拠法を選択します。準拠法の定めがない場合、最密接関係地法を採用することになります。
この程度だけを踏まえて選択肢を検討します。
ア:債務者の住所地法を準拠法とするとありますが、当事者間での合意があれば何も債務者の住所地とは限りません、と解釈できますね。だから不適だと判断しました。
イ:ひょっとすると、本肢に限らず「当事者間の合意」というのがポイントなのかもしれません。だとすると、外国法人の従業員と外国法人との間で労働契約に関する合意がポイントであれば、当該法人の国の法律だったり、日本の労働基準法だったりどちらかを選択できるわけで、その合意にもとづくということになるのではないでしょうか。だから不適だと判断。
ウ:これもイの考え方と同じですね。不適だと判断しました。
エ:当事者の合意がポイントだり、その当事者間の合意がない場合には最密接関係地法が採用されるのだと考えると、本肢が正しい記述だと考えられます。
以上により、正解は、エ である。