自称週末ファーマーの国家試験受験記

自己啓発の延長なのか、自己実現の手段なのか、はたまた意地の張り合いか。生きているうちに“何か”を成し遂げたいから走り続けているような感じがする

経営法務【平成20年度 第15問】

【平成20年度 第15問】

 株式会社A(以下「A社」という。)は、株式会社B(以下「B社」という。)に対して継続して商品を販売しており、B社に対して売掛金債権を有している。最近、B社からの支払が滞りがちなので、B社の代表者Cとの交渉により、その支払を確実にしたいと考えている。A社の対応として、最も不適切なものはどれか

 

ア B社がA社に対する売掛金債務の履行をしない場合の強制執行について認諾し

  た旨の記載がある公正証書を作成してもらう。

イ B社が第三者に対して有する売掛金債権について、A社とB社との間で集合債

  権譲渡担保設定契約を締結し、これについて債権譲渡登記をする。

ウ C個人に無期限かつ金額の上限なくA社のB社に対するすべての売掛金債権に

  ついて口頭で保証してもらう。

エ 既に存在するA社のB社に対するすべての売掛金債権について、新たに書面で

  C個人の連帯保証をしてもらう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

経営法務は会社法知的財産権が主な出題の柱ですが、本問みたいな民法系の問題は後回しにされることが多いと聞きます。とはいえ、本問はそんなに難しい方ではないですから確実にゲットしたい問題ではあります。

いきなり選択肢をみてみましょう。

ア:実は他の選択肢で明らかに不適切なものが見つかるので、結果的に本肢は正しい選択肢だと分かります。強制執行はいつでもできる訳ではなく、裁判所に申し立てる必要があります。この際、A社とB社の間で強制執行を認諾する公正証書が必要になります。これを債務名義といいます。「支払がヤバくなったら強制的に取り立ててもよい」とかなんとか書いてある公正証書がないと、いくらなんでも強制執行なんぞできませんです。

イ:集合債権譲渡担保設定契約ってのはスピテキにも載っていない事項ですね。これは債務者の有する債権をまとめて担保に取るというものです。なんだかよく分かりません。B社の債権は何もA社だけではなく、他にも債権はあるはずで、それら債権をまとめて担保とし、債権譲渡登記をすることで対抗要件とするらしいです。だから、集合債権譲渡担保設定契約ってのは債権譲渡登記が必要だってことですね。

ウ:「無期限かつ金額の上限なし」ですべての債権を保証させることを「包括根保証」といいますが、現在では民法改正により包括根保証は禁止されています。本肢はこの包括根保証が論点なのではなく、「口頭で保証」というところがミソなんですね。そもそも商行為は連帯保証になりますが、それは書面でなければならないと民法に定められています。ですから「口頭」という部分が誤りであり、すぐに×と分かるのでウが正解です。

エ:連帯保証に限らず、保証は要式契約ですから書面でなければなりません。

以上により、正解は、ウ である。