自称週末ファーマーの国家試験受験記

自己啓発の延長なのか、自己実現の手段なのか、はたまた意地の張り合いか。生きているうちに“何か”を成し遂げたいから走り続けているような感じがする

財務会計【平成19年度 第2問】

【平成19年度 第2問】
 次の精算表に基づき、下記の設問に答えよ。

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(設問1)
 売上総利益が280千円であるとき、空欄Aに入る金額として最も適切なものはどれか。


ア 186   イ 190   ウ 206   エ 210

 

(設問2)
 空欄BとCに入る最も適切な金額の組み合わせはどれか(単位:千円)。

ア B:10  C:5     イ B:10  C:15
ウ B:20  C:15    エ B:20  C:25

 

(設問3)
 空欄D~Gのうち、金額が入る箇所として最も適切な組み合わせはどれか。

ア DとF   イ DとG   ウ EとF   エ EとG

 

 

 

 

 

 

 

 

精算表の空欄に①~33までの番号を付しました。

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精算表の問題は間違っても最初に手をつけちゃいけない、といわれています。途中でつまづくとドツボにはまる可能性もあるし時間を無駄に使ってしまう可能性もあるからです。
とはいえ、この年度は枝問で3つもあるから12点と配点も高い。イヤだなぁ。

さて、何も考えずに空欄に数字が入るところからやっつけましょう。

①現金=130
②当座預金=828
売掛金=360
⑥貸付金=270
⑦備品=300
⑧買掛金=355
⑬資本金=1,500
⑭売上=1,440
⑲給料=100

保険料の(23)もカンタンに入りそうですね。
18から(23)を引いて9ですから、(23)=9 ですね。
すると、前払保険料の(26)(27)=9 になりそうです。
貸倒引当金繰入の(24)=13 ですし、減価償却費の(25)=45 です。
未払家賃の(28)=12 ですし、未収利息の(29)=5 です。

そこで、(24)の貸倒引当金繰入=13 ですから、⑨貸倒引当金=13 より、
⑩には5+13=18 が入ります。
(25)の減価償却費=45 ですから、減価償却費累計額の⑪=45 より、
⑫=90+45=135 と判明。

すると、このままの流れで空欄Bにも数字が当てはまりそうです。
残高試算表の貸方を足していけば、3,400になりますよね。
だから空欄B=10 が入ることが分かります。
未収利息=5 ですから⑮=5であり、空欄C=15 になります。先に設問2が解けちゃった。

これでまだ空欄が埋まっていないのは、空欄A、④⑤⑯⑰⑱⑳(21)(22)、空欄D~Gです。⑳が埋まれば空欄Aも解けるのですが、ここは空欄Aを出さないとダメそうです。諦めて設問1をやりましょう。

設問1は、売上総利益=280千円のときの空欄Aとあります。
売上高-売上原価=売上総利益 ですから、売上高=1,440、売上総利益=280 ですので、売上原価=1,160 と判明します。
この「1,160」は精算表のどこに当てはまるかが、精算表の問題を解く鍵になりますね。成功への鍵、KFSです!(笑)

そもそも、期首在庫高+当期仕入=当期売上原価+期末在庫高です。
期首在庫高と期末在庫高はB/Sの勘定であり、仕入と売上原価はP/L勘定でした。そうすると、精算表の「仕入」を見ると、⑱が損益計算書のところの空欄になっています。結果的には売上原価はこの⑱に当てはまるのですが、これは、繰越商品と仕入勘定の振替が関係してくるからです。ここは⑱=1,160としましょう。

したがって、精算表の仕入のところでは、1,152+⑯-⑰=1,160 という関係であることが分かります。つまり⑯-⑰=8 ということです。

次に繰越商品について考えます。
精算表の見方において、空欄Aは期首在庫高を表し、貸借対照表の欄にある「198」は期末在庫高を表すことが分かるかどうかがポイントです。
また、先に挙げたように期首在庫高+当期仕入=当期売上原価+期末在庫高ですから、期首在庫高A+当期仕入1,152=当期売上原価+期末在庫高198 が成り立ちます。

当期売上原価は1,160と分かっていますから、期首在庫高A=1,160+198-1,152=206 であることが判明しました。
以上により、正解は、ウ である。

この問題だけではなく、精算表において、売上原価を算定するのに必要な期首在庫高、期末在庫高がどこに表示されているのかが分かること、それ精算表の中で売上原価がどこに表示されるのかが分かれば大方の問題は解けてしまいます。
精算表の問題はそこが出来るか否かにかかっているのではないかと思います。

設問2は先ほど出せました。正解は、イ である。

最後に設問3ですね。
空欄A=206 だとすると、⑳=36 と判明します。(21)=12 より、(22)=48 です。
損益計算書の欄のタテ列を足し算していきましょう。
貸方の方がラクチンですね。⑭=1,440で空欄C=15 ですから合計=1,455です。
借方を足し算しますと、合計=1,375となります。
この欄は損益の欄ですから貸方が多ければ純利益、借方が多ければ純損失を表します。

貸方=1,455で借方=1,375ですから純利益ですね。
そこで、空欄DまたはEのどちらに差である80が入るかです。どちらかに80を放り込んで貸借が一致しないといけないわけですから、80が当てはまるのは空欄Dのほうですね。
同様に貸借対照表のほうも同じことをすると、80を当てはめるべきは空欄Gであることが分かります。
したがって、金額が入る箇所の組み合わせは空欄Dと空欄Gですから
正解は、イ である。

 

ここで売上原価の算定について確認しておきましょう。
本問のように期首に商品がある場合を想定することにしましょう。

(例) 期首に100円の商品を保有している。当期に商品1,000円を現金で仕入れ、
   仕入原価900円の商品を現金で1,300円で売り上げた。期末現在、仕入原価
   200円の商品が残っている。

売上原価の算定にあたり、ここでは期首商品を仕入勘定に振り替える処理と、期末商品を費用である仕入勘定から繰越商品勘定に振り替える2つの処理を行う必要があります。

売上原価を「仕入」勘定で期末に一括して算定するため、まず期首商品をすべて売却したと仮定して「繰越商品」勘定から「仕入」勘定へ振り替える処理を行う必要があります。期首在庫高は100だから

 (借方) 仕入 100 / (貸方) 繰越商品 100
これは期首商品に対して行う処理ですね。

次に期末商品に対する処理を行います。
期末商品は200です。この繰越商品は、いま、“費用”として仕入勘定にいます。当期に仕入れた商品だから仕入勘定(費用)として仕訳しているからです。でも実際は売れ残りですから、当期に費用として計上することは出来ません。そこで期末商品は繰越商品として“費用”ではなくす処理を行います。

 (借方) 繰越商品 200 / (貸方) 仕入 200
これは期末商品に対して行う処理です。

こうすることで当期に仕入れた分の売れ残りを費用から除外することが出来ました。

よって、期首在庫高=100 当期仕入=1,000 期末在庫高=200 ですから
売上原価=900 と導くことが出来ます。

この一連の振り替える処理は、本問のように精算表の問題において役に立ちます。単純に売上原価を算定するだけなら、「売上原価=期首在庫高+当期仕入-期末在庫高」という式で算定可能です。

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しかし、精算表の出題で、例えば、本問の精算表の空欄④⑤⑯⑰に数字を当てはめるような問題があるとヤバいです。
ですから、まずは期首商品を仕入勘定に振り替える仕訳と期末商品を繰越商品に振り替える仕訳を行ったうえで、T字勘定に書き換えつつ精算表に記入するという手順を踏む必要があります。

振り替える仕訳は
 仕入 100 / 繰越商品 100
 繰越商品 200 / 仕入 200   とし、

     繰越商品                     仕入
仕入 200   仕入 100       繰越商品 100   繰越商品 200

とT字勘定に書き換えてから、精算表の繰越商品の欄(本問でいう④⑤)に、
④=200 ⑤=100 と記入し、
同じく仕入の欄(本問でいう⑯⑰)に、⑯=100 ⑰=200 と記入します。

理屈で考えるとこうなるんですが、ここは理屈抜きで体で覚えましょう。
振り替える仕訳は、

 『しー くり くり しー』

で覚えることです。

ですから期首在庫高と期末在庫高さえ分かれば、あとは『しーくりくりしー』で仕訳しT字勘定に直して精算表に記入することです。

売上原価を算定する方法として、算定式を押さえることと精算表への対応として振り替える仕訳と精算表への記入方法を押さえる2点を確認しました。

この点に関してはスピ問様には良問が掲載されています。