自称週末ファーマーの国家試験受験記

自己啓発の延長なのか、自己実現の手段なのか、はたまた意地の張り合いか。生きているうちに“何か”を成し遂げたいから走り続けているような感じがする

第42話 経営法務① 覚えるだけじゃダメなんです

自称週末ファーマーがなぜ国家試験取得を目指しているのかを赤裸々に語るブログです。著者による、著者のための備忘録みたいなもんではありますが学習してきた内容をPCに向かって書き記すことは決して楽なことではありません。思い出し、テキストをひろげ、サブノートを見返し、過去問を調査し、専門書を紐解き、といった作業をしながらのエントリです。野菜の薀蓄を語っているほうがずっと楽しいですし、ラクです。ですが、試験に対するモチベーションを落とさないためにも、あえて苦しいことに向き合っていかないとダメだと著者は考えます。だからこういう形で自分の恥をさらしながらのエントリであることをご理解いただければ幸いです。

さて、本エントリから『経営法務』という科目の振り返りとなります。
経営法務は主に次のような内容が試験範囲になります。
① 民法、商法(商行為)
② 会社法
③ 資本市場(金融商品取引法
④ 倒産法制
⑤ 知的財産権
⑥ その他法律知識(独占禁止法、消費者保護法制など)
いやいや、これまたすごいラインナップじゃないですか。
出題傾向そのものは会社法知的財産権がメインになっている。だからどの本を見ても会社法知的財産権を中心に学習するようにと書いてあるのだ。基本的には暗記が中心になるのだろうが、問題は暗記した知識そのものを使って解く問題が少ないということだ。詳細は後述するが、さしあたり覚えるべきことは覚えなくてはならないし、初見の内容もあるだろう。だから著者は丁寧に経営法務にあたることにした。
時は、平成26年12月のことだった。

これまでの科目のようにまずはスピテキを通読する。サブノートを作成する。スピ問を解く。仕上げに過去問を解く。これを反復するといった基本方針を踏襲することにした。
スピテキの経営法務は民法から始まり、会社法、資本市場、倒産、知的財産権独禁法、PL法、消費者保護法制、国際取引という流れで学習する。早速スピテキを開いてみた。

まずは法律の分類。
著者は法学部出身だから初見のワードもなくスラスラ読めた。もう20数年前の大学生の記憶がよみがえって来る。英米法大陸法って懐かしいねぇ。次は民法。故意と過失。法律行為の種類。意思表示。んー、思い出すなぁ。
意思の不存在とは、心の中にある意思と外部に対する表示との間に食い違いがあること。
その中に心裡留保があり、虚偽表示があり、錯誤がある。心裡留保とは、表意者が自分の内心の意思と外部に表示されたものとが食い違うことを知っている場合。原則として心裡留保での意思表示は有効であるが、相手がその食い違いを知っていたまたは知ることが出来た場合は無効になる。
虚偽表示とは、相手側と示し合わせてした虚偽の意思表示のこと。この意思表示は当然に無効だが、善意の第三者に対しては無効を主張することが出来ない。善意とは「ある事情、事実を知らない」ことで、悪意とは「ある事情、事実を知っている」ことを表す。法律用語は一種独特だ。
錯誤とは、表示行為に対する内心的効果意思が欠けること、つまり、表示そのもに対して取り違いをしているということ。表意者に重過失がない場合、無効となる。
次いで、瑕疵ある意思表示について。
瑕疵ある意思表示とは、詐欺・脅迫による意思表示のこと。
この場合の意思表示は取り消すことが出来る
なお、善意の第三者に対して、脅迫の場合は取消を主張することが出来るが、詐欺の場合は取消を主張することが出来ないとされている。

ちなみに意思表示の効力が発生するのは、民法では、到達主義を原則としている。意思表示が相手方に到達したときに効力が発生するとしている。

次は代理。
代理とは、ある人(本人)が自分の代わりに代理人を立て、その代理人が本人のため、本人の代わりにするのだということを明らかにして、相手方に意思表示をし、その効果が直接本人のものになるという制度のこと。これ、民法総則の試験に出たなぁ、大学んとき。
無権代理とは、代理権のない者が代理人として勝手に代理行為をすること
この場合は原則無効。本人が追認した場合には、この無権代理行為は契約時に遡って有効となる。
表見代理とは、無権代理行為でありながら、本人と代理人との一定の関係から、有権代理と同じように代理行為の効果が本人に帰属するというもの。

次は期限の利益。
期限の付けられた法律行為では、その効力の発生や消滅または債務の履行は期限が到来するまで猶予される。この猶予期間は『期限の利益』と呼ばれる。
債務者は破産手続きの決定を受けた場合や担保を供する義務を負う場合に提供しないときには期限の利益を主張することが出来ないとされている。つまり、債務者は期限の利益を喪失し、債権者は債務者に直ちに債務の履行を請求できるということ。だいたいは契約書に明記している。

次は債権・契約。
民法は債権の発生要因を、契約、事務管理、不当利得、不法行為の四つと定めている。
一口に債権といってもいろいろな種類があり、民法では5種類を既定している。なお、利息の支払いを目的とする債権を利息債権というが、民法上の法定年利は5%。商行為による法定年利は6%としている。

民法では、契約の成立に当事者の合意以外に目的物の引渡しを必要とする要物契約と、必要としない諾成契約を既定している。民法で規定する契約のうち(民法で規定する契約を『典型契約』という)要物契約に該当するのは消費貸借、使用貸借、寄託の三つ

典型契約以外では、フランチャイズ契約がある。フランチャイズ契約はB to Bの契約であるから消費者保護法制の適用はない

債権・債務の消滅自由を、民法では七つ規定している。弁済・代物弁済・供託・相殺・更改・免除・混同。

次は保証。
保証とは、主債務者が債務を履行しない場合に、保証人がその履行を担保する制度。保証契約は、主債務を担保する内容の債権者と保証人との契約。保証契約は、債権・債務の法律関係とは別個の契約となることに注意が必要だ。
保証契約には次のような性質がある。

①附従性
 ・主債務が成立していなければ、保証債務も成立しない
 ・主債務が消滅すれば、保証債務も消滅する
 ・保証債務は、主債務より責任が重いものであってはならない
②随伴性
 ・主債務が債権譲渡などにより移転すると、保証債務もそれに随伴して移転する
③補充性
 補充性とは、主たる債務が履行されない場合にはじめて保証人は保証債務を履行する責任を負うという性質のこと。これには催告の抗弁権検索の抗弁権の二種類がある。
 ・催告の抗弁権とは、債権者からの保証債務の履行請求に対しては、保証人は、まず主債務者に履行の請求をすべきだと主張できるということ
 債権者:「期限が来ているんだからカネ返せ!」
 保証人:「そんじゃ、債務者に言い伝えますわ」
 保証人:「おい、コラ! カネ返せって言うてますねん、早ぅ、返しや」
 債務者:「へーい」
 ・検索の抗弁権とは、債権者が主たる債務者に催告したあとでも、保証人は、主たる債務者に弁済の資力があり、執行が容易であることを証明すれば、まず主たる債務者の財産に執行すべきことを主張できる、ということ
 債権者:「コラ、カネ返せ!」
 保証人:「そんじゃ、債務者に言うておきます」
 保証人:「カネ、返せよ、保証人のわいまで言われとるがな」
 債務者:「カネないんすよー」
 保証人:「何言うてるんじゃ、このベンツは何じゃ、これ、売ってカネにすればええやん」

伝わる?

 

保証の最後は「連帯保証」について。
保証契約の中で、特に保証人が主債務者と「連帯して」保養債務を負担すること。先に述べた保証契約と異なる点がある。
補充性がない
 ・催告の抗弁権、検索の抗弁権がない
分別の利益がない
 分別の利益とは、複数の保証人がいる場合、各保証人は平等の割合で分割的に保証すればよいという利益のこと。
 ・連帯保証には「分別の利益」が認められていない。債権者は複数の連帯保証人に対して、それぞれに全額の支払いを要求できる
③連帯保証は商行為によって生じる
 ・保証契約が商行為である場合には連帯保証となる

保証契約は要式契約であるから、書面でされない限り無効となる。

ここまで保証契約までをなぞってきたが、これらの知識を利用して解く問題が経営法務の問題だ。
だから断片的に知識を押さえていても点数にはつながらないというわけだ。

なにせいろいろ覚えることがある。

ふ~、とため息をついた。