経済学・経済政策【平成25年度 第7問】
【平成25年度 第7問】
政府支出の増加が持つ有効需要創出効果がないケース、あるいは有効需要創出効果が弱められるケースの説明として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。
a 政府支出の増加が公債発行によってまかなわれると、債券市場で
超過需要が発生することから、利子率が上昇し、民間投資が抑えられる。
b 在庫が存在する場合には、政府支出の増加に対して、財貨・サービスの
供給を、在庫の取り崩しによって対応する。
c 政府支出の増加によって、以前は民間によって供給されていた
財貨・サービスを、政府が民間に代わって供給する。
d 政府支出の増加によって、貨幣需要が減少し、利子率が上昇することで、
民間投資が抑えられる。
〔解答群〕
ア a と b
イ a と c
ウ b と c
エ c と d
設問要求は、「有効需要創出効果がないケース」「有効需要創出が弱められるケース」ですが、選択肢を吟味するだけで解答が得られます。
aは、確かに政府支出の増加によって利子率は上昇します。IS曲線が右シフトするからです。それによってクラウディングアウトが発生し、民間投資が抑えられることは考えられます。しかし、途中の「超過需要が発生」というところが誤りですね。政府支出の増加が公債の発行だとしたら債券市場では超過需要ではなく超過供給が発生します。ゆえに本肢は不適です。
bです。財貨・サービスの供給を在庫の取り崩しによって対応する場合、総供給が増えないですからGDPも増えません。したがって、有効需要創出効果が出ないケースです。よって正しい記述。
cです。政府支出の増加によって財貨・サービスの需要が増加しても、政府が民間に代わって供給すれば総供給は増えませんね。ですから理屈はbbと同じです。よって弱められるケースですから正しい記述です。
dはaと考え方は同じです。政府支出の増加はIS曲線を右シフトさせますね。すると利子率は上昇します。するとクラウディングアウトが発生し民間投資が抑えられます。しかし、政府支出の増加によって貨幣需要は減少しませんです。貨幣需要は増加します。政府支出の増加は有効需要拡大策ですから貨幣の取引需要は増加するはずです。したがって、本肢は不適。
よって、正解は、ウ である。