自称週末ファーマーの国家試験受験記

自己啓発の延長なのか、自己実現の手段なのか、はたまた意地の張り合いか。生きているうちに“何か”を成し遂げたいから走り続けているような感じがする

経済学・経済政策【平成26年度 第10問】

【平成26年度 第10問】
古典派経済学体系での貨幣の扱いと金融政策に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア k%ルールとは、物価上昇率を一定の値に収める金融政策運営上のルールで
  ある。
イ 貨幣市場の均衡条件によって利子率が決まり、貨幣的側面が実物面に影
  響を与える。
ウ 実質GDP労働市場の均衡から決定されるため、貨幣供給量を増やしても
  実質GDPは拡大しない。
エ 数量方程式で表される貨幣需要には投機的需要のみを想定している。

 

 

 

 

 

 

 

キターッ! こういう問題(笑)
古典派は実にいやらしいです。
さてこの問題はさっそく選択肢から見ていきます。
アは、k%ルールは、GDPの増加に合わせて貨幣供給量を増やすというルールですから不適です。古典派は情報が完全であれば、貨幣供給量が2倍になれば物価も2倍になるという貨幣のベール観の立場です。
イは、ケインズ派の考えでは、財市場で国民所得が、貨幣市場で利子率が決まるとしていました。しかし古典派では、財市場で利子率が決まり、貨幣市場では物価が決まるとしています。ゆえに貨幣的側面が実体経済に影響を与えます。ゆえに不適。
ウです。古典派の考えでは労働市場は常に完全雇用であり、実質賃金率によって労働市場における需要と供給が決定されるとします。つまり実質賃金率は伸縮的であり、常に完全雇用だとしています。また貨幣供給量が2倍になれば物価も2倍になると考えますから(貨幣のベール観)、失業のない完全雇用下では物価の変動によりGDPが一定に維持される。すなわち労働市場GDPが決定されます。貨幣供給量を増やすとGDPが拡大するのではなく、物価が上昇します。ゆえに正しい記述。
エは、数量方程式は、M=k×P×Y でした。Mは貨幣供給量、Pは物価、Yは完全雇用GDP、kは定数です。この数量方程式では、Yを完全雇用GDPとしているので常に一定です。ゆえに貨幣供給量Mは、物価Pによって決定すると説明します。だから貨幣市場で決まるのは物価だと考えます。
さて、エの肢には「貨幣需要には投機的動機」とあります。古典派は貨幣需要を取引需要のみとしていますから不適であることが分かります。
以上により、正解は、ウ である。