自称週末ファーマーの国家試験受験記

自己啓発の延長なのか、自己実現の手段なのか、はたまた意地の張り合いか。生きているうちに“何か”を成し遂げたいから走り続けているような感じがする

経済学・経済政策【平成25年度 第13問】

【平成25年度 第13問】
 人生を若年期(期間1)と老年期(期間2)とに分ける。期間ⅰ(ⅰ=1、2)における消費をCⅰ、所得をYⅰ、利子率を r とする。貯蓄と借入(負の貯蓄)は若年期においてのみ行われ、老年期を終える時点では貯蓄も借入も残さないものとする。
 下図は、横軸に若年期の消費(C1)を、縦軸に老年期の消費(C2)をとり、若年期と老年期の所得を所与として、貯蓄や借入に制約がない場合に選択可能な若年期と老年期の消費の組み合わせを右下がりの直線ABで表している。
 直線ABの形状の説明として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

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〔解答群〕
ア 縦軸の切片が Y1+(1+r)Y2 で、傾きが-(1+r )の直線
イ 縦軸の切片が Y1+(1+r)Y2 で、傾きが-1/(1+r)の直線
ウ 縦軸の切片が (1+r)Y1+Y2 で、傾きが-(1+r )の直線
エ 縦軸の切片が (1+r)Y1+Y2 で、傾きが-1/(1+r)の直線

 

 

 

 

 

 

 

これも異時点間モデルですな。
少し確認しましょう。下図を見てください。

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C1は若年期の消費です。Y1は若年期の所得ですね。
C2は老年期の消費です。Y2は老年期の所得です。
点Eは若年期の所得すべてを若年期の消費に使い切る点であり、かつ、老年期の所得を老年期の消費に使い切る点です。すなわち、若年期に貯蓄がない点を表します。貯蓄イコールゼロです。なお、最適消費点かどうかは分かりません。
点Eは若年期の所得の全てを消費に使うということですから、Y1から右側、つまり太線部分の消費をしたい場合には借入を行う必要があります。たとえば、点Bまで消費したい場合には、太線部分を借り入れて消費に充てることになりますね。だって若年期の所得はY1までしかないんですから。
借入というのはありていに言えば借金ですから当然利子が付きます。
いま、利子率=r としています。太線部分まで消費したい人は借入して消費しますが、将来Y2の所得がある人に対して、Y2/1+r しか貸せません。
将来、1+r の利子が付くので、Y2/1+r ×(1+r)=Y2 ですからね。
Y2/1+r は将来の所得をアテにして借り入れる額だから、点Bである横軸切片の座標は、(Y1+Y2/1+r , 0 )になります。

この場合、借り入れした分は将来、利子をつけて返済しなければなりませんから、
(Y1-C1)×(1+r )を返済する必要があります。

将来の所得はY2です。将来の消費はC2です。
Y2は将来の所得を使い切る所得ですね。ただし、若年期に借り入れした分を返済しなくてはなりません。
つまり、将来の消費C2は、将来の所得Y2から若年期に借りた分に利子を付けたものの和(返済額を引くと同じ意味です)になるはずです。
C2=Y2+(Y1-C1)×(1+r ) という式になります。
これを展開し、整理すると、
C2=-(1+r)C1+(1+r)Y1+Y2 となり、線分ABは、傾きが-(1+r)で、縦軸切片が(1+r)Y1+Y2 の直線の式になります。

なお、利子率が変化すると点Eを軸に点Aおよび点Bがシフトします。
たとえば、利子率が上昇すると、点Eを軸に点Aが上方シフト、点Bが左方向へシフトします。

ゆえに、正解は、ウ である。