経営法務【平成22年度 第4問】
【平成22年度 第4問】
甲株式会社(以下「甲社」という。)では、営業部門を会社分割の手続きを利用して分社化することとしているが、その中で、従業員A~Dの所属について、以下の対応を検討している。これら従業員のうち、「会社分割に伴う労働契約の承継等に関する法律」第2条第1項に基づく通知が必要となる者の組み合わせとして最も適切なものを下記の解答群から選べ。なお、分社化により新たに設立される会社を乙株式会社(以下「乙社」という。)とする。
従業員A:入社以来、営業部門に従事している者であるため、会社分割に際して
も、乙社所属とする。
従業員B:総務部門に従事する者であるが、乙社での総務担当者がおらず、従業員
Bは過去に営業部門に関連する総務業務も担当していたことがあるため、
会社分割に際しては、乙社所属とする。
従業員C:経理部門に従事し、営業部門に関連する経理も若干担当していたことは
あるものの、会社分割に際しては、甲社所属とする。
従業員D:一昨年の人事異動で、営業部門に異動となり、その後約2年間その業務
に従事していたが、適正の問題もあることから、会社分割に際しては、
甲社所属とし、異動前の部署に戻す。
〔解答群〕
ア A、B、C
イ A、B、D
ウ A、C、D
エ B、C、D
与件を整理しますと、分割されるのは営業部門で新たに乙社になるんですね。甲社から営業部門を切り離すってことです。
だから営業部門に従事していた者で、書面にて定めがある場合は当然に承継。書面による定めがない場合には原則残留。書面で異議申し立てすれば承継。
営業部門に従事していない者で、書面で定めがある場合には、原則承継。書面で異議を申し立てれば残留。書面に定めがない場合は当然に残留。
これらを踏まえてA~Dを確認しましょう。
従業員Aですが、もともと営業部門所属。新設される分割会社は営業部門ですから当然に承継させる。そうすると、書面が必要になる。
従業員Bはもともと総務部門です。ですから営業が主業務でないのに承継会社に転属させようとしていますので書面が必要。
従業員Cはもともと経理部門です。甲社所属にしたいわけですからそのまま放置しておけばよいのです。
従業員Dは営業部門所属です。本来は書面をもって乙社へ転属ですが、甲社に残留させたい。したがって、書面でもって甲社残留としなければなりません。
以上により、A、B、Dに書面が必要ですから、イ が正解。