自称週末ファーマーの国家試験受験記

自己啓発の延長なのか、自己実現の手段なのか、はたまた意地の張り合いか。生きているうちに“何か”を成し遂げたいから走り続けているような感じがする

経済学・経済政策【平成24年度 第6問】

【平成24年度 第6問】
 下表は、国土交通省が公表している「建設工事受注動態統計調査結果」の一部を抜き出したものである。生産物市場の均衡条件が次のように与えられているとき、表にある数字の解釈として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

 Y=C+I+G+X-M
 Y:GDP  C:民間消費支出  I:民間投資支出  G:政府支出
 X:輸出  M:輸入

f:id:sk6960:20160427102137j:plain

〔解答群〕
ア 海外からの建設工事発注額減少は、民間投資支出の減少につながり、それは
  生産物供給の減少から、日本のGDPを減少させることになる。
イ 海外からの建設工事発注額減少は、輸入の減少につながり、それは生産物供
  給の減少から、日本のGDPを減少させることになる。
ウ 公共機関からの建設工事発注額減少は、政府支出の減少につながり、それは
  生産物需要の減少から、日本のGDPを減少させることになる。
エ 民間等からの建設工事発注額減少は、民間消費支出の減少につながり、それ
  は生産物需要の減少から、日本のGDPを減少させることになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

良問とはいえない問題だと思うのは著者だけでしょうか。しかも過去問マスターの、本問の解説がひどい。ひどい解説しか載せられない程度の問題だとしたら本当に良問じゃないんだね(笑)

さて、表は「建設工事受注動態統計調査結果」という長い名前です。
国内における民間等からどれくらいの額の受注を受けたか、公共機関からどのくらいの額の受注を受けたか、海外からどのくらいの受注を受けたかを表すのだと解釈しました。
この表によれば、平成21年度から平成22年度では民間等からの受注額、公共機関からの受注額がそれぞれ減少していますし、海外からの受注額も減少していることが分かります。
また本問はどういうわけか生産物市場の均衡式が並べられて書かれています。これはどういうことを意味しているのでしょうか?

とまぁ、選択肢を検討することにしましょう。
ア:「海外からの建設工事発注額減少は、民間投資支出の減少」とあります。与件に生産物市場の均衡式が書かれているのはこれが関係しているのかもしれません。つまり、海外からの発注は、均衡式でいうところの「X-M」に相当し、民間投資支出ではないということです。民間投資支出は I ですからね。海外からの発注は、建設工事を“輸出”するわけで、輸出ですから民間投資支出とは違うのは明白です。ゆえに不適だと分かります。
イ:海外からの建設工事発注額減少は、建設工事の輸出であって輸入ではないですね。それに仮に輸入が正しいとしても、輸入が減少すれば貿易収支は改善するからそれだけでGDPが減少するとはいえません。もっとも、海外へ建設工事を輸出しなくなることで、生産物供給が減少すればGDPは減りますけどね。ゆえに不適。
ウ:公共機関からの発注は政府支出の減少です。いわゆる公共事業だと考えました。政府支出が減少すれば、IS曲線は左にシフトしますから生産物市場では超過需要となります。ゆえにGDPは減少しますので本肢は正しい記述です。

エ:民間等からの発注額減少は、民間消費支出ではなく民間投資支出です。均衡式の C ではなく I なんですね。民間消費支出が減少すればGDPは減少しますし、民間投資支出が減少すればGDPは減少します。ゆえに不適。

以上により、正解は、ウ である。