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自称週末ファーマーの国家試験受験記

自己啓発の延長なのか、自己実現の手段なのか、はたまた意地の張り合いか。生きているうちに“何か”を成し遂げたいから走り続けているような感じがする

経済学・経済政策【平成18年度 第4問】

【平成18年度 第4問】
 次の均衡所得の決定に関する文章を読んで、下記の設問に答えよ。

 総需要ADが消費C、投資I、政府支出Gから構成される経済モデルを仮定する。
すなわち、
  AD=C+I+G
である。
 ここで、消費関数と投資関数はそれぞれ、
 C=C0+c(Y-T)
 I=I(r)
として与えられ、Yは所得、C0は独立消費、cは限界消費性向、Tは租税収入、rは利子率である。なお、政府支出と租税収入はそれぞれG=G0、T=T0とする。
 他方、所得の処分は、
  Y=C+S+T
として示される。ここではSは貯蓄である。
 このとき、下図のように、①I+G線とS+T線の交点で総需要=総供給が成立し、均衡所得がY0に決定される。また、②I+G線またはS+T線がシフトすれば、それによって均衡所得の水準も変化する

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(設問1)
 文中の下線部①について、I+G線およびS+T線の特徴を最も適切に記述したものの組み合わせを下記の解答群から選べ。

a I+G線の位置は限界消費性向によって決まる。
b I+G線の位置は利子率の上昇に応じて上方にシフトする。
c S+T線の傾きは限界貯蓄性向が大きいほど急になる。
d S+T線の切片は独立消費が大きいほど下方に位置する。
e 限界消費性向が大きいほど限界貯蓄性向も大きくなり、S+T線を下方にシフト
 させる。


〔解答群〕
ア a と d   イ a と e   ウ b と c   エ c と d   オ d と e

 

(設問2)
 文中の下線部②について、I+G線またはS+T線のシフトと均衡所得との関係を最も適切に記述したものの組み合わせを下記の解答群から選べ。

a 均衡予算により、政府支出の増加と増税を同規模で行った場合、I+G線とS+T
 線はともに上方にシフトし、所得水準は影響を受けない。
b 減税は、S+T線の切片の位置を上に移動させる。
c 政府支出の増加と減税を同規模で行った場合、I+G線は上方に、S+T線は下
 方にそれぞれシフトして所得の拡大が生じるが、その拡大幅は前者のほうが大き
 い。
d 独立消費の減少は、S+T線を下方にシフトさせて所得を拡大させる。
e 投資の利子弾力性がゼロの場合、利子率が低下してもI+G線は変化せず、所
 得は不変である。


〔解答群〕
ア a と c   イ a と e   ウ b と d   エ c と e   オ d と e

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本問は輸出を考えない45度線分析のISモデルです。
国民所得Yは支出面から、Y=C+I+G ・・・①
また、分配面から、Y=C+S+T ・・・②  で表せますね。
YS=YD=Y ですから、①②より、
C+I+G=C+S+T が成り立ちます。これを整理すると、
S+T=I+G ・・・③ と表すことができます。

与件より、G=G0、T=T0で所与です。
また、I=I(r) であり、投資は利子率の減少関数という大事な考え方があります。市場利子率が上昇すると投資は減少するという考え方でした。

さらに、②式より、S=Y-C-T ・・・④ ですから、消費関数C=C0+c(Y-T)を代入すると、
S=Y-{C0+c(Y-T)}-T です。これを整理すると、
S+T=(1-c)Y-(C0-cT) ・・・⑤ となります。
つまり、S+T線は、傾きが限界貯蓄性向であることがわかります。

これらを踏まえて各設問の選択肢を見ていくことにしましょう。

設問1です。
a:I+G線の位置を決めるのは、投資と政府支出です。そのうち、政府支出は所与ですからI+G線の位置は投資に依存します。また、与件より、I=I(r)とされていますから、投資量を決めるのは市場利子率に他なりません。つまり、利子率が上昇すれば投資は減少しますし、利子率が下落すれば投資量は増加します。したがって、I+G線の位置を決めるのは限界消費性向ではなく、利子率(投資量)ですから本肢は不適です。
b:投資は利子率の減少関数ですから、利子率が上昇すれば投資は減少します。ゆえに利子率の上昇はI+G線を下方シフトさせます。ゆえに本肢は不適だと分かります。
c:前述したとおり、S+T線は⑤式です。傾きは(1-c)ですから限界貯蓄性向です。限界貯蓄性向が大きいほど傾きは急になりますから本肢の記述は正しいです。
d:S+T線の切片は⑤式より、-(C0-cT)です。独立消費はC0ですから独立消費が大きいほど切片は下方シフトします。ゆえに本肢は正しい記述です。
e:限界消費性向が大きいほど限界貯蓄性向は小さくなるんです。ゆえに不適。
以上により、正解は、エ である。

続いて設問2に入ります。
a:政府支出を増加させた場合、I+G線は上方シフトします。増税を行った場合、S+T線は下方シフトしますね。S+T線は⑤式ですから、S+T=(1-c)Y-(C0-cT)において、租税収入が増加すると切片は下方にシフトすることが分かります。ゆえに不適です。
なお、政府支出の増加と増税を同規模で行った場合、T=cT0であり、c<1なので、G0>cT0 となります。だから政府支出増加による効果の方が大きいことが分かりますね。
b:⑤式から明らかなように、減税はS+T線を下方シフトさせます。減税はGDPを押し上げる効果が期待できますからやはり下方にシフトです。ゆえに不適。
c:政府支出を増加させると、I+G線は上方シフトします。また、減税を行った場合はS+T線は下方にシフトします。G0>cT より政府支出の増加による効果の方が大きいですね。ゆえに本肢の記述は正しいことが分かります。
d:⑤式より独立消費が減少すると縦軸切片は上方シフトします。ゆえに不適。
e:投資の利子弾力性がゼロの場合、利子率が上昇しようが下落しようが投資量は不変です。投資の利子弾力性がゼロの状態とは、投資量が利子率に全く反応しない状態のことです。

ですから、利子弾力性がゼロの場合、投資量が変わりませんからI+G線は不変です。つまり所得も不変です。だから本肢は正しい記述であることが分かります。
以上により、正解は、エ である。

18年度に出題され、少しレベルアップして19年度にも出題されたのかな?
18年度は海外を考えないISモデルで、19年度は海外部門を含めたISモデルでしたからね。
経済学って2年連続で同じような論点を出題する傾向があります。
ってことは27年度の問題はばっちり復習すべきなんでしょうね。