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自称週末ファーマーの国家試験受験記

自己啓発の延長なのか、自己実現の手段なのか、はたまた意地の張り合いか。生きているうちに“何か”を成し遂げたいから走り続けているような感じがする

経済学・経済政策【平成22年度 第6問】

【平成22年度 第6問】
 次の財政・金融政策の効果と有効性に関する文章を読んで、下記の設問に答えよ。

 いま、生産物市場の均衡条件が
  Y=C+I+G
で与えられ、YはGDP、Cは消費支出、Iは民間投資支出、Gは政府支出である。
 ここで、
  消費関数C=C0+c(Y-T)
  C0:独立消費、c:限界消費性向(0<c<1)、T:租税収入
  投資関数I =I0-ir
  I0:独立投資、i:投資の利子感応度、r:利子率
とする。
 他方、貨幣市場の均衡条件は
  M=L
であり、M:貨幣供給、Lは貨幣需要である。
 ここで、
  貨幣需要関数L=kY-hr
  k:貨幣需要の所得感応度、h:貨幣需要の利子感応度
とする。

 これらを連立させることにより、均衡GDP

f:id:sk6960:20160428100519j:plain
として求められる。
 上記の式から、①財政政策(政府支出)の乗数は

f:id:sk6960:20160428100538j:plain

である。
 また、②金融政策の乗数は

f:id:sk6960:20160428100559j:plain
である。

 

(設問1)
 文中の下線部①について、財政政策の効果に関する説明として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。

a 貨幣需要の利子感応度が小さいほど、クラウディング・アウトの程度が小さく、
 財政政策に伴う所得拡大効果は大きくなる。
b 限界貯蓄性向が大きいほど、財政政策の乗数はより大きくなる。
c 投資の利子感応度が大きいほど、クラウディング・アウトの程度が大きく、財政
 政策に伴う所得拡大効果は小さくなる。
d 「流動性の罠」に陥った場合、財政政策の乗数は1/1-cで示される。


〔解答群〕
ア a と b   イ a と d   ウ b と c   エ b と d   オ c と d

 

(設問2)
 文中の下線部②について、金融政策の効果に関する説明として、最も適切なものの組み合わせを以下の解答群から選べ。

a 貨幣需要の利子感応度が小さいほど、貨幣供給の増加に伴う利子率の低下幅
 が大きく、金融政策の所得拡大効果が大きくなる。
b 投資の利子感応度が大きいほど、利子率の低下に伴う民間投資支出の拡大は
 場が大きく、金融政策の有効性が高まる。
c 投資の利子感応度が無限大の場合、金融政策の乗数はゼロになる。
d 「流動性の罠」に陥った場合、金融政策の乗数は1/kになる。


〔解答群〕
ア a と b   イ a と d   ウ b と c   エ b と d   オ c と d

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

複雑な式が並んでいますがあまり式の意味が分からなくても解けます。

まず初めに「貨幣需要の利子感応度」とは、利子率の上昇によってどれくらい貨幣需要が変動するかの程度を表します。たとえば、「貨幣需要の利子感応度が大きい」とあれば利子率の上昇によって貨幣需要が大きく反応するという意味であり、逆に言えば少しでも利子率が上昇すれば貨幣需要は大きく反応するという意味でもあります。

これは「投資の利子感応度」も同じ考え方でOKです。
たとえば、「投資の利子感応度が大きい」とあれば利子率の上昇によって投資量が大きく反応するという意味であり、少しでも利子率が上昇すれば投資量は敏感に反応し減ってしまう(投資は利子率の減少関数)ことを意味します。

また、貨幣需要の利子感応度が大きい場合LM曲線の傾きは緩やかであり、投資の利子感応度が大きい場合IS曲線はこれも緩やかな形状となります。

それでは設問1から検討しましょう。
a:貨幣需要の利子感応度が小さいとき、LM曲線の形状は傾きが急です。極端に考えるならLM曲線は垂直と考えても大丈夫です。そこで拡張的財政政策を行うと、IS曲線は右にシフトしますから国民所得は増加します。当然に総需要が増加しますから取引需要が増加することで利子率は上昇しますが、貨幣需要の利子感応度は小さいですから貨幣需要は大きく変動しません(貨幣需要の利子感応度がゼロに近いためです)。

それでも総需要が増加していますから取引需要は増える、でも貨幣需要は大きく変動しないわけで、取引需要の超過需要が解消するまで利子率は上昇を続けます。ゆえに利子率上昇により投資量は減りますのでクラウディング・アウトが起きることになります。したがって、「クラウディング・アウトの程度が小さく」とする本肢の記述は誤りです。
b:財政政策の乗数ですが、ここで式を見ましょう。⊿Y/⊿Gの式の分母に「1-c」があります。これが限界貯蓄性向です。限界貯蓄性向が大きいほど分母が大きくなりますから全体として乗数は小さくなりますね。ゆえに不適です。
c:投資の利子感応度が大きいとき、IS曲線の形状は緩やかですね。水平に近い形状をイメージしましょうか。拡張的財政政策を実施すると、IS曲線は右にシフトします。シフトした結果、国民所得が増加しますので取引需要が増加します。取引需要が増加すると利子率が上昇します。投資の利子感応度が大きいから少しの利子率の変動でも投資量に大きく影響しますが、投資は利子率の減少関数ですからこの場合投資量は減少します。つまりクラウディング・アウトの程度が大きいことになります。ゆえに本肢の記述は正しいことが分かります。
d:流動性の罠LM曲線が水平のときですね。つまり、貨幣需要の利子感応度が無限大のときです。貨幣需要の利子感応度はhですから、hが無限大になると、ik/hは限りなくゼロに近づきます。よって、分母は1-c+ゼロ となるので1/1-c で示されることになります。ゆえに本肢は正しいです。
以上により、正解は、オ である。

次は設問2です。
a:貨幣需要の利子感応度が小さいということは、貨幣需要の増加に伴う利子率の反応が小さいということです。
いま、金融緩和策を行ったとすれば、貨幣供給量を増やすことでLM曲線が右シフトします。右シフトすることで利子率は下落しますが、貨幣需要の利子感応度は小さいですから投資のための貨幣需要が増えません。需給が一致するまで利子率は下がり続けますので低下幅は大きいといえそうです。投資は利子率の減少関数ですから、利子率が下落すれば投資が増えます。したがって、投資増により所得拡大効果は大きくなります。ゆえに本肢は正しい記述です。
b:金融政策を行い、貨幣供給量を増やすことでLM曲線は右にシフトします。右シフトすると、利子率は下落します。投資の利子感応度が大きいですから、少しの利子率の変動で投資は大きく変動します。投資は利子率の減少関数ですから、少しの利子率の下落が大きく投資量を増やすことになります。ゆえに本肢は正しい記述です。
c:式を見ましょうか。
投資の利子感応度は i ですね。分子と分母にあります。これらが無限大になっても乗数そのものがゼロになることはないですね。よって不適。
d:流動性の罠に陥ると、貨幣需要の利子感応度が無限大になりますね。式の中のhが無限大になります。

特に分母にhがありますが、そのhが無限大になると限りなくゼロに近づきます。分子にもhがありますが、hが無限大になれば分子も限りなくゼロに近づきます。分子を「1」とする本肢の記述は誤りだと分かります。
以上により、正解は、ア である。

少し難しかったかもしれませんね。
ただ、グラフをイメージできれば解けますです。
言葉による説明をすると難しく感じますが、グラフでイメージでき、実際にISまたはLMをシフトさせてみれば解けます。