自称週末ファーマーの国家試験受験記

自己啓発の延長なのか、自己実現の手段なのか、はたまた意地の張り合いか。生きているうちに“何か”を成し遂げたいから走り続けているような感じがする

経済学・経済政策【平成23年度 第9問】

【平成23年度 第9問】
 内生的経済成長モデル(AKモデル)は次のように定義される。
 いま、Y:GDPまたは生産量、K:資本ストック(人的資本や公共資本を含み、資本減耗は考えない)、A:資本の生産効率を示す定数とすれば、生産関数は、
  Y=AK
であり、これを労働1単位あたりで示せば、
  y=Ak
になる。ここで、y:労働1単位あたりの生産量、k:資本-労働比率である。
 上記の生産関数から生産量の増加率と資本の成長率は同じになる。また、⊿Kが投資に等しく、投資は貯蓄sY(s:貯蓄率)と一致することを考慮すれば、

f:id:sk6960:20160519095415j:plain
が得られる。
 さらに、労働人口の成長率をnとすれば、

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が成立する。

 ここから得られる記述として、最も不適切なものはどれか

ア sA>n であれば、資本-労働比率と労働1単位あたりの生産量は(sA-n)の
  比率で永続的に成長する。
イ 政策的に資本の生産効率を高めることができれば、経済成長率も上昇する。
ウ 生産関数は収穫逓減の特徴を持ち、長期的に経済成長は安定的な均衡成長の
  水準に収束する。
エ 貯蓄率が高まれば、経済成長率も上昇する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

AKモデルについて問われています。
ってか、AKモデルだけに限定されているわけではなくてソロー=スワンモデルの知識を使ってやると意外としっくりいくかと思います。
本問を解くポイントは、
①貯蓄イコール投資
②Y=AK より A=Y/K
③sYは貯蓄率        ってところでしょうか。すべて与件です。

Y=AK より、生産量の増加率と資本の成長率は同じになるとしています。だから⊿Y/Y=⊿K/K ですね。
⊿Kは投資に等しく、投資は貯蓄sYと一致とあることから、
⊿K/K=sY/K となります。
A=Y/K ですから、⊿K/K=sY/K=sA が成り立つ、というわけです。

また、1人あたりの貯蓄の増加は1人あたりの資本量を増やします。
一方で、労働人口増加率の増加は1人あたりの資本量を減らします。
つまるところ、sA-n だということです。

これらを踏まえて選択肢を検討しましょう。

ア:sAは貯蓄率であり、nは労働人口増加率です。sAは1人あたりの資本量を増やしますし、nは1人あたりの資本量を減らします。sA>nであれば常に1人あたり資本量が増えますので永続的に成長することになりますね。ゆえに本肢の記述は正しいです。
イ:資本の生産効率って与件のAのことです。いま、Y=AKなんだからAが高くなればYも増加しますよね。ですから本肢の記述も正しいです。
ウ:AKモデルにおいては、Y=AKが成り立つわけですから収穫は一定です。なんとなく逓減なグラフのイメージがありますから間違えやすいですね。ゆえに本肢は不適です。
エ:貯蓄率=sY であり、sYが増加するとそれは投資にまわります。投資にまわればGDPは増えますから本肢は正しい記述です。

以上により、正解は、ウ である。