自称週末ファーマーの国家試験受験記

自己啓発の延長なのか、自己実現の手段なのか、はたまた意地の張り合いか。生きているうちに“何か”を成し遂げたいから走り続けているような感じがする

第54話 経営法務⑦ まだまだ会社法

さっそく続き。

3.大会社・大会社以外による分類

<大会社>
 会社法上、資本金5億円以上または負債総額200億円以上の株式会社。大会社は資本金額または負債金額の要件を満たせば強制的に適用を受ける。

 ●大会社 → 資本金5億円以上または負債金額200億円以上

 大会社かつ株式譲渡制限会社においては、会計監査人を置かなければならない。いくら譲渡制限会社であっても大会社だから計算書類が面倒くさいのだ。だからプロに会計を任せるというイメージか。

 ●大会社かつ譲渡制限会社 → 会計監査人を設置する

 大会社かつ公開会社は、一般的に上場大企業の大半がこのグループ。大会社かつ公開会社は、監査役会および会計監査人を設置しなくてはならない。大会社だから監査役は1人は無理だから監査役会を設置し、大会社だから業務監査で手一杯なので会計監査はプロの会計監査人に任せるというイメージか。

 ●大会社かつ公開会社 → 監査役会および会計監査人を設置する

4.その他の株式会社

指名委員会等設置会社
 指名委員会、監査委員会、報酬委員会の3つを委員会をすべて置く株式会社

※平成26年の会社法改正前までは「委員会設置会社」であったが、改正により監査等委員会設置会社が新設されたことにより、従来の委員会設置会社との区別の必要性から「指名委員会等設置会社」という呼称になった。

 指名委員会等設置会社の義務として以下のような規定が適用される。
 ①必ず取締役会を設置
 ②監査役を置くことができない
 ③必ず会計監査人を置かなければならない
 ④会計参与を置くことは任意
 ⑤取締役の任期は1年。任期の伸長不可
 ⑥代表取締役を置くことはできず、代わりに代表執行役を置く

<各委員会>
 各委員会は、取締役決議によって選任された3人以上の取締役(そのうち過半数は社外取締役)によって組織される。
①指名委員会
株主総会に提出する取締役(および会計参与)の選任・解任に関する議案の内容の決定
②監査委員会
・取締役、執行役(および会計参与)の職務執行の監査、監査報告の作成
株主総会に提出する会計監査人の選任、解任ならびに不信任に関する議案内容の決定
・計算書類等の監査
③報酬委員会
・取締役、執行役(および会計参与)の個人別の報酬などの決定

なお、指名委員会等設置会社は、1人(以上)の執行役を選任しなければならない。また、取締役会は、執行役の中から、代表執行役を選任しなければならない。執行役の選任は取締役会の決議事項。執行役と会社との関係は委任関係。執行役は取締役と兼任できるが、監査委員と兼任することはできない。執行役の任期は1年。伸長不可。定款に定めることで短縮は可。

監査等委員会設置会社
 平成26年の改正で新設された。監査役(会)に代えて監査等委員会が設置される形態。監査等委員は3名以上で、うち過半数が社外取締役。なお,常勤の監査等委員は義務付けられない。監査等委員は、会社もしくはその子会社の業務執行取締役もしくは支配人その他の使用人又は当該子会社の会計参与もしくは執行役を兼任できない。任期は2年。解任は株主総会特別決議

 ●監査等委員会 → 監査役(会)に代わる機関
          3名以上で過半数は社外取締役。常勤者は不要
          選任は株主総会普通決議、解任は株主総会特別決議
          監査等委員の取締役の任期は2年。その他の取締役の任期は1年

 また、監査等委員会設置会社は、取締役会および会計監査人を置かなければならない執行役は置いてはいけない。あくまでも監査役(会)の代わりという位置づけなので機関設計上は監査役身分保障に近い形となっている。

 ●監査等委員会設置会社 → 取締役会設置会社、会計監査人設置会社

 一定の要件を満たす株式会社において社外取締役を置いていない場合は、「社外取締役を置くことが相当でない理由」を株主総会において説明することを義務付けるものとしている。

なお、指名委員会等設置会社で取締役会が選任する「執行役」と一般的に使われる「執行役員」は全く異なるもの。執行役は会社法に規定されている指名委員会等設置会社の機関であり、執行役員は法的根拠がなく、企業が任意で呼称している役職名。執行役は会社との関係性を“委任関係”としている一方、執行役員は単なる使用人であり、雇用関係としている。

続く。