自称週末ファーマーの国家試験受験記

自己啓発の延長なのか、自己実現の手段なのか、はたまた意地の張り合いか。生きているうちに“何か”を成し遂げたいから走り続けているような感じがする

経済学・経済政策【平成18年度 第7問】

【平成18年度 第7問】
次の国際貿易に関する文章を読んで、下記の設問に答えよ。

 いま、2国(Ⅰ国とⅡ国)・2財(X財とY財)・1生産要素(労働)モデルにおいて、下表のような生産が行われていると考える。ここで、両国の生産要素は等質であり、国際間の移動はないものとし、完全競争と自由貿易を仮定する。加えて、価格=費用が成立する。
 2国間における貿易パターンは、①比較優位・劣位によって決まる。また、表によれば、貿易開始前には、Ⅰ国では、200人を投入してX財1単位、400人を投入してY財1単位を生産し、Ⅱ国では、150人を投入してX財1単位、50人を投入してY財1単位を生産している。つまり、世界全体では、X財2単位とY財2単位が生産されている。各国は、貿易の開始とともに、比較優位を持つ財の生産に特化し、その結果、②資源配分の効率化が進展して世界全体の生産量が拡大する


                        Ⅰ国    Ⅱ国
 X財1単位の生産に投入される労働量(人)  200   150
 Y財1単位の生産に投入される労働量(人)  400    50

 

(設問1)
文中の下線部①について、比較優位の説明として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。

a Ⅰ国では、X財とY財ともに絶対優位であり、X財に比較優位を持つ。
b Ⅰ国では、X財とY財ともに絶対劣位であるが、X財に比較優位を持つ。
c Ⅰ国では、X財とY財ともに絶対劣位であるが、Y財の比較優位を持つ。
d Ⅱ国では、X財とY財ともに絶対優位にあり、Y財に比較優位を持つ。
e Ⅱ国では、X財とY財ともに絶対劣位にあるが、Y財に比較優位を持つ。


〔解答群〕
ア a と d  イ a と e  ウ b と d  エ b と e  オ c と d

 

(設問2)
文中の下線部②について、Ⅰ国とⅡ国がそれぞれ比較優位財に完全特化した場合、各国の生産量はどのように変化するか。最も適切なものを選べ。

ア Ⅰ国ではX財のみが3単位、Ⅱ国ではY財のみが4単位生産される。
イ Ⅰ国ではX財のみが4単位、Ⅱ国ではY財のみが3単位生産される。
ウ Ⅰ国ではY財のみが3単位、Ⅱ国ではX財のみが4単位生産される。
エ Ⅰ国ではY財のみが4単位、Ⅱ国ではX財のみが3単位生産される。

 

 

 

 

 

 

リカードさんの比較生産費説ですね。分野的にはミクロのカテゴリです。
ここでのポイントは「絶対優位」と「比較優位」の算出方法くらいでしょうか。コンランしないように手際よくやっつけたいですね。
ここでは2国・2財モデルです。ですから、“その国の中でどちらの財が安く作れるか”と“その財はどちらの国が安く作れるか”を比較することから始めます。
Ⅰ国はX財を作るのに200人、Y財を作るのに400人必要ですから、X財のほうが安く作れます。Ⅱ国はX財を作るのに150人、Y財を作るのに50人必要ですから、Y財のほうが安く作れます。
ですが、X財についてはⅠ国が200人必要なのに対してⅡ国は150人で済みますから、Ⅱ国のほうが安く作れますね。同様に、Y財もⅠ国は400人必要なのに対してⅡ国は50人ですから、Ⅱ国のほうが安く作れます。
つまり、比較優位説によれば、その国の中で財同士を比較(国内の比較)するのが「比較優位」の出し方であり、絶対優位説によれば、その財を国同士で比較(同じ財の比較)する「絶対優位」の出し方というわけです。

その国の中で財同士を比べてみると
Ⅰ国  X財:200 Y財:400 ですからX財のほうが少ない労働量で生産できます。
ですから、Ⅰ国はX財に比較優位を持つといいます。
Ⅱ国  X財:150 Y財:50 ですからY財のほうが少ない労働量で生産できます。
ですから、Ⅱ国はY財に比較優位を持つといいます。
一方、その財を国同士で比較してみると、
X財  Ⅰ国:200 Ⅱ国:150 ですからⅡ国はX財に絶対優位を持つといいます。
Y財  Ⅰ国:400 Ⅱ国:50 ですからこれもⅡ国はY財に絶対優位を持つといいます。
したがって、Ⅱ国は絶対優位ですからⅠ国は絶対劣位といいます。
ゆえに、設問1の正解は、ウ ですね。

もちろん、比較優位を算出するのに単位あたりの労働投入量を求めてもかまいません。

続いては設問2です。
「Ⅰ国とⅡ国がそれぞれ比較優位財に完全特化した場合」とありますね。つまりその国の投入できる労働量をすべてその財に投入するということを意味しています。
Ⅰ国は全部で600人を、Ⅱ国は全部で200人を投入することができます。
Ⅰ国の比較優位財はX財であり、Ⅱ国の比較優位財はY財でしたね。
通常ならⅠ国は比較優位財のX財を作るのに必要な労働投入量は200です。600投入できることから3単位生産が可能になります。
同様に、Ⅱ国はY財が比較優位財ですし、通常は50投入してY財を生産しますから200投入できるので4単位生産できます。
したがって、正解は、ア ということになります。