財務会計【平成19年度 第12問】
【平成19年度 第12問】
次のA社の資料に基づき、下記の設問に答えよ。
株価純資産倍率(PBR) 配当性向 配当利回り
1.5倍 60% 4%
(設問1)
資料より求められるA社の自己資本利益率として最も適切なものはどれか。
ア 2.4% イ 6% ウ 9% エ 10%
(設問2)
資料より求められるA社の株価収益率(PER)として最も適切なものはどれか。
ア 4倍 イ 9倍 ウ 15倍 エ 40倍
ROE=当期純利益÷自己資本 で攻めるんだけれど・・・。
まず、
PBR=株価÷BPS=株価総額÷純資産額 だ。
配当性向は、当期純利益に占める配当総額の割合だから、
配当性向=配当総額÷当期純利益
配当利回りは、株価に占める配当額の割合だから、
配当利回り=配当額÷株価
ちなみに、PERは、
PER=株価÷EPS=株価総額÷当期純利益 ですな。
ん? ROEを求めるんだから、分母に自己資本または純資産額がきて、分子には当期純利益があればいいんだよな。自己資本または純資産額が式にあるのは、PBRだけだ。なんかPBRを使いそう。
当期純利益が式にあるのは、配当性向とPERだ。しかもともに分母に当期純利益がある。これを分子にもってくるんだから割り算しないといかんね。
あとは組み合わせの問題だな。
ROEの純資産(自己資本)は分母だし、PBRの純資産も分母だから、
① ROE = PBR × 配当性向
② ROE = PBR × PER
または、
③ ROE = PBR ÷ 配当性向
④ ROE = PBR ÷ PER
になりそうだなぁ、なんとなく。あとはハメていくか。
① ROE = PBR × 配当性向
ROE = 株価総額÷純資産額 × 配当総額÷当期純利益
コイツは、何も消えてくれない。割り算しても消えなさそうだ。
よってダメだ。
次は② ROE = PBR × PER
ROE = 株価総額÷純資産額 × 株価総額÷当期純利益
消えそうで、消えない。ひょっとしたら割り算の式か? だから④かも。
④ ROE = PBR ÷ PER
ROE = 株価総額÷純資産額 ÷ 株価総額÷当期純利益
ROE = 株価総額(分子)÷純資産額(分母) × 当期純利益(分子)÷株価総額(分母)
分子、分母の株価総額が消去されて、残るは、
ROE = 当期純利益÷純資産額(自己資本) となった。わーい、わーい。
でも、まだ、PERが求まってないや。がっくり。
設問1はこれで解けそうだな。
もう1回確認しよう。
PBR=株価÷BPS=株価総額÷純資産額 で、
配当性向=配当総額÷当期純利益 で、
配当利回り=配当額÷株価 で、
PER=株価÷EPS=株価総額÷当期純利益 ですな。
PERが求まればいいんだから、同じような発想でみてみるか。それにしても時間かかりすぎ。
じっくり眺めてみるか。本番ならそんな時間はないけれど。
<配当性向> <配当利回り> <PER> <PBR>
(分子) 配当総額 配当額 株価総額 株価総額
(分母) 当期純利益 株価 当期純利益 純資産額
お?
おお?
配当利回りとPERを掛け算すると、・・・?
配当額÷株価 × 株価総額÷当期純利益
= 配当額÷株価 × 株価÷1株あたり当期純利益(EPS)
= 配当額÷1株あたり当期純利益
だから、これって配当性向じゃん。
つまり、配当性向 = 配当利回り × PER ってことかぁ。
配当性向=60%、配当利回り=4% より、60%=4% × PER PER=15
よって、PERは15倍と分かった。
ゆえに、ROE=PBR÷PER より、ROE=1.5倍÷15倍 ROE=10%
あら、設問2まで解けちゃったし。
以上により、設問1の正解は、エ であり、
設問2の正解は、ウ である。
これって使えそうな公式だからね。
① ROE = PBR ÷ PER
② 配当性向 = 配当利回り × PER
こういうのは、ファイナルペーパーとしてとっておくようにした。