運営管理【平成23年度 第4問】【平成20年度 第12問】
【平成23年度 第4問】
生産システムへのITの利用に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 資材の計画、要員や設備などの資源の管理のために、MRPⅡを導入する。
イ 生産情報をリアルタイムに処理し、現場管理者に提供するために、MRPを
導入する。
ウ 製品のモデルを用いて製品設計を仮想的に評価するために、ERPを導入す
る。
エ 物、人、金を対象に、生産を総合的に管理するために、CAEを導入する。
なんだか選択肢を見ていると笑えてしまう。
MRPはもともと資材所要量計画といって資材の必要量と時期を求める仕組みから始まったものです。当初は生産能力は無限にあるという仮定の下で始まったものの、いくつかの進化を見せ、MRPⅡといって資材所要量計画の他に要員や設備といったことから調達・購買も含めた資源を管理対象とするものとなっていきました。MRPは製造部門的な意味合いのイメージですが、ERPは全社的に業務の最適化を目指す意味合いがありますね。
ERPとは、企業の持つ様々な資源(人材、資金、設備、資材、情報など)を統合的に管理 ・配分し、業務の効率化や経営の全体最適を目指す手法です。
選択肢を見てみましょう。
ア:いきなりですが、正しい記述ですね。
イ:生産情報をリアルタイムに処理するのはPOPという仕組みです。生産時点情報管理という意味ですが、生産の進捗がリアルタイムに把握できるように見える化されたものです。MRPは資材の所要量を計算するものですから不適です。
ウ:製品のモデルを用いて製品設計を仮想的に評価するのはCAEですね。
エ:本肢の記述がERPの記述です。
以上により、正解は、ア である。
【平成20年度 第12問】
JIS生産管理用語におけるサプラーチェーンマネジメントを定義した次の文中の空欄A~Cに入る最も適切な用語の組み合わせを、下記の解答群から選べ。
サプライチェーンマネジメントは、資材供給から生産、流通、販売に至る物または( A )の供給連鎖をネットワークで結び、販売情報、需要情報などを部門間または( B )でリアルタイムに共有することによって、経営業務全体の( C )及び効率を高めながら顧客満足を実現する経営コンセプトだる。
〔解答群〕
ア A:サービス B:企業間 C:スピード
イ A:サービス B:工場間 C:経済性
ウ A:情報 B:企業間 C:経済性
エ A:情報 B:工場間 C:スピード
本問は知っている知らないのレベルの問題かもしれません。SCMは有名な用語でありますから製造業に関わりの少ない方でもご存知だと思います。SCMの目指すところは全体最適であって、部分最適ではないです。ここにはキャッシュフロー経営、制約条件の理論(TOC)やDBR(ドラムバッファロープ)などの細かな話も出てくるのですが、JIS定義レベルであれば全く不必要。
ちなみにJIS定義によれば、「資材供給から生産,流通,販売に至る物又はサービスの供給連鎖をネットワークで結び,販売情報,需要情報などを部門間又は企業間でリアルタイムに共有することによって,経営業務全体のスピード及び効率を高
めながら顧客満足を実現する経営コンセプト」と定義されています。
運営管理の多くはJIS定義を押さえておくことで対応が可能なんですよね。
ゆえに、正解は、ア である。
【平成21年度 第7問】
工場計画に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
ア 海外立地を検討する際の要因には、国内立地検討要因のほか、カントリーリ
スクなど、海外立地特有の要因が存在する。
イ 工場計画では、サプライチェーンマネジメントが優位性を発揮するための方
策を考慮する必要がある。
ウ 工場計画は、敷地選定、建屋の設計、職場の設計、設備の設計、治工具の設
計などが相互に関連して進められる。
エ 工場レイアウト設計におけるレイアウトのタイプは、製品の種類により、製
品別、グループ別、工程別の3つに分類される。
選択肢をみてみますか。
ア:別に誤った表現はないように見えます。
イ:SCMが優位性を発揮するという表現は気になりますが、SCMは全体最適を目指す経営コンセプトであり、上流から下流までの各企業がそれぞれに優位性を発揮できるように、と考えればしっくりきます。
ウ:別にこれも間違った表現は見受けられないですね。
エ:レイアウト設計は、工場における構成要素を適切に配置するように計画する必要があります。進め方としては、P-Q分析でモノと量を把握し、次に物の流れを分析します。つまり動線ですね。次に設備をどう配置するかを検討し、レイアウト案を図面に落とします。それによって、製品別レイアウトだったり、グループ別だったり、機能別(工程別)であったり3つに分類されます。
なお、P-Q分析において、少種多量生産向きとあれば製品別レイアウトが適切。
多種少量の場合には機能別(工程別)レイアウトが適切。中種中量生産であればグループ別レイアウトが適切だとされますが、共通の工程がない場合には製品別レイアウトに変更すべきだと考えます。
したがって、レイアウト設計において必要なことは製品の種類と量です。本肢の記述には量が抜けています。
よって、正解は、エ である。