経営法務【平成17年度 第9問(設問1)】
【平成17年度 第9問(設問1)】
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
法律上債権があっても、債務者に財産が十分にない限り、債権の弁済を受けることは出来ない。「債権の最後のより所は債務者の全財産である」と言われる所以である。
このため民法は債権者に対し、債務者の財産を維持保全するための権利を与えた。その1は( A )であり、例えば債務者が不動産を買ったのに所有権移転登記をせず放置している場合は、債権者はこの権利を用いて債務者の代わりに売主に移転登記を請求することができる。その2は債権者取消権であり、一定の要件の下で、債務者が( B )を行ったときに、この行為を取り消す権利である。
「債権の最後のより所は債務者の全財産である」という考え方は、比較的最近まで金融の実務では常識であった。財産に担保権を設定して融資を受ける場合においても、弁済が滞り、担保物を売却してもなお債務が残ったならば、債権者は債務者の他の財産から弁済を受ける権利を有する、とされていたのである。
(設問1)
文中の空欄Aおよび空欄Bに入れる語の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。
ア A:介入権 B:債権者を害する法律行為
イ A:介入権 B:他の債権者への弁済行為
ウ A:債権者代位権 B:債権者を害する法律行為
エ A:債権者代位権 B:他の債権者への弁済行為
これは債権者代位権と詐害行為取消権(債権者取消権)に関する出題ですね。知っている知らないのレベルです。
債権者代位権は、債権者が自己の債権を保全するため、債務者に属する権利を債務者に代わって行使できる権利のことです。
一方、詐害行為取消権(債権者取消権)とは、債務者が債権者を害することを知った行為について、債権者が裁判所に取消を請求できる権利です。
以上により、正解は、ウ である。