自称週末ファーマーの国家試験受験記

自己啓発の延長なのか、自己実現の手段なのか、はたまた意地の張り合いか。生きているうちに“何か”を成し遂げたいから走り続けているような感じがする

経済学・経済政策【平成25年度 第6問】

【平成25年度 第6問】
資産は貨幣と債券の2つから構成されており、貨幣に利子は付かないと想定する。
貨幣供給量を増加させた場合、これが企業の設備投資や家計の住宅投資に与える影響に関する説明として、以下の(1)と(2)において、最も適切なものの組み合わせを以下の解答群から選べ。ただし、資産市場ではワルラス法則が成立しているものとする。

 (1) 債券市場では、
 a 超過需要が発生し、債券価格が上昇することで、利子率が低下する。
 b 超過供給が発生し、債券価格が下落することで、利子率が上昇する。
 (2) (1)における利子率の変化により、
 c 債券から貨幣への需要シフトが起こり、また投資を行う際に必要な資金
  調達コストが低下するため、投資が促進される。
 d 貨幣から債券への需要シフトが起こり、また投資を行う際に必要な資金
  調達コストが上昇するため、投資が減退する。


〔解答群〕
ア (1) a  (2) c
イ (1) a  (2) d
ウ (1) b  (2) c
エ (1) b  (2) d

 

 

 

 

 

ワルラス法則とは、債券市場と貨幣市場は表裏一体の関係なので一方の分析をすれば他方はその反対になっており、その一方を分析せずとも正反対の状況だと分かるということです。
なお、この問題のポイントは、「債券価格は市場利子率の減少関数」だということです。また、債券の利子率は確定利子率で、市場利子率は変動します。このあたりを踏まえて選択肢の検討を行います。
(1)ですが、債券市場の動きですね。
貨幣供給量を増加させた場合、債券市場では超過需要が起こります。すると確定利子率の高い債券人気が高まります。一方、市場利子率は債券人気の高まりを受けて不人気ですから市場利子率は下落します。つまり債券価格が上昇すれば、市場利子率は低下します。これがポイントなんですね。
設問をよく読みましょうね。「企業の設備投資や家計の住宅投資」とありますね。これって債券の確定利子率ではなく市場利子率に関係するものです。貨幣供給量が増加すれば、市場利子率よりも確定利子率のほうが高いと債券への需要は増加します。だって利子が高いのですからね。その反面、市場利子率は低下するんです。これがワルラス法則を意味します。

(2)ですが、利子率の変化は市場利子率の変化を表しています。
市場利子率が低ければ投資は増えます。資金調達コストが下がるからですね。つまりは負債コストです。
(1)では確定利子率が高く、債券人気が高い状況で債券高、市場利子率安になっています。貨幣供給量が増えたわけですから債券需要が高まったわけです。そこでワルラス法則が成り立っていますから、市場利子率が相対的に低くなり、企業の設備投資や家計の住宅投資などが促進されるというストーリーです。

ゆえに貨幣供給量を増加させた場合、債券市場では超過需要が発生します。すると債券価格が上昇します。債券は確定利子率ですから債券人気があるということは市場利子率よりも利子率が高いということを意味しています。つまり「債券価格は市場利子率の減少関数」だから債券価格が高いと市場利子率は下落します。
市場利子率が低ければ、投資は増えます。「投資は利子率の減少関数」です。
したがって、正解は、ア である。