経済学・経済政策【平成17年度 第7問】
【平成17年度 第7問】
最近、日本では一部の産業で賃金の下落が観察され、それを要素価格均等化と関連付けて議論する動きがある。ヘクシャー=オリーン定理における要素価格均等化命題の説明として最も適切なものはどれか。
ア 相対的に資本が豊富な国では、資本集約財を輸入することになり、
その輸入拡大は当該国の資本報酬率の上昇を引き起こす。
イ 相対的に労働が豊富な国では、労働集約財を輸出することになり、
その輸出拡大は当該国の賃金の下落を引き起こす。
ウ 土地集約財である農産物の輸入拡大は、輸入国の地価を上昇させ、
土地を輸出したことと同等の効果を生じさせる。
エ 要素価格の均等化が生じる場合、貿易を通じて、生産要素が移動
したのと同等の効果が発生したことになる。
ヘクシャー=オリーンの要素価格均等化命題とは、
豊富にもつ財を輸出入することで、両国の財の相対価格が等しくなれば両国で要素の相対価格も均等化するという理論。図表が出てくるほうがややこしい気がする。
さて、選択肢の検討をしよう。
アは、相対的に資本が豊富なら資本を輸出する。そうすると、当該国の資本量が減少するので当該国の資本報酬率は上昇する。したがって、「輸入」が誤りだから不適である。
イは、労働が豊富な国は労働を輸出する。そうすると、当該国では労働量が減少するので当該国の労働報酬率が上昇する。ゆえに「賃金は下落」しないので不適。
ウは、土地集約財である農産物を輸入すると、当該国で農産物を生産する必要が少なくなる。そうすると、土地が使われないことになり、地価は下落する。ゆえに「地価を上昇」とする記述は誤り。
ゆえにエが正解だが、
エは、要素価格均等化命題をそのまま説明した記述。
以上により、正解は、エ である。