自称週末ファーマーの国家試験受験記

自己啓発の延長なのか、自己実現の手段なのか、はたまた意地の張り合いか。生きているうちに“何か”を成し遂げたいから走り続けているような感じがする

経済学・経済政策【平成23年度 第14問】

【平成23年度 第14問】
2人からなる社会におけるパレート最適性に関する説明として最も適切なものはどれか。

ア パレート最適性の基準は、資源配分と所得分配の最適化を同時に達成する
  ものである。
イ パレート最適ではない状態から配分を変更するのであれば、必ず他の個人を
  不利にせずにある個人を有利に出来る。
ウ パレート最適な状態から配分を変更してパレート最適ではない状態へ移行す
  るとき、必ず他の個人を不利にせずにある個人を有利に出来る。
エ パレート最適な状態から配分を変更して別のパレート最適な状態へ移行す
  るとき、ある個人を有利にすれば、必ず他の個人は不利になってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

パレート最適とは、「他の経済主体の効用を低下させることなしには、自己の効用を増加させることができない状態」をいいます。
要するに、「自分の取り分を増やすためには、相手の分をブン取らないとならない状態」ですね(笑)
実は、このパレート最適な状態は、最適資源配分であり効率的であることを表しています。

たとえば、いま、3人A、B、Cがそれぞれの取り分●を持つとする。
A→●●●
B→●●●●●
C→●●
3人からなる社会においては●は全部で10個しかないものとする。

Cは取り分は2個しかないので不満タラタラです。
どうにかして自分の取り分を増やしたいとたくらんでいます。そのためにはCは2つの方法が在ると考えました。
①AまたはBからブン取る
②●そのものを増やす
②ではAまたはBからブン取らなくてもCは自分の取り分をふやすことが出来ます。AもBも不利にせず、自分もハッピーになる方法が②なのです。
つまり、「他の経済主体の効用を低下させることなく、自己の効用を増加させることが出来る状態」だということができます。
しかし、この方法を取るためには●が増えてくれないと達成できそうにありません。つまり、●10個が最大な場合には②を採用することが出来ないわけです。
この「●が10個で最大な場合」こそが“最適な資源配分が実現している”“効率的な”状態であるといいます。
以上により、「他の経済主体の効用を低下させることなしには、自己の効用を増加させることが出来ない状態」が最適資源配分、効率的であることを表すのです。

これらを踏まえて選択肢の検討に入りましょう。
アです。パレート最適は、資源配分の最適化であり、所得分配は考えません。ゆえに不適。
イは、「パレート最適ではない状態」とは、●が10個よりも多く存在している状態です。だから不満タラタラのCは●がある分全部をゲットしようと企むので、
A→●●●
B→●●●●●
C→●●+●●●●●・・・
とするので、AとBはこれ以上増やすことが出来ず不利になります。ゆえに、「必ず他の個人を不利にせずに」という記述は誤りだと分かります。

ウ。パレート最適とは、「他の経済主体の効用を低下させないと自分の効用を増やすことが出来ない状態」ですから、
A→●●●
B→●●●●●
C→●●
というパレート最適の状態を、
A→●●●  → 変わらず
B→●●●  → 不利に
C→●●●● → 有利に
となり、Bが不利になりますので不適です。
エは、パレート最適な状態はこうです。
A→●●●
B→●●●●●
C→●●

これを別のパレート最適な状態にするということは、●の総数10個を3人で分け合うわけですから、
<パターン1>
A→●●●●
B→●●●
C→●●●
や、
<パターン2>
A→●●
B→●●●●
C→●●●●
になればいいわけですね。
そうすると、当初のパレート最適(A:3個 B:5個 C:2個)に比べ、パターン1のパレート最適もパターン2のパレート最適もBの取り分が減少しています。すなわちBが不利になっているということです。●の総数は10個で不変ですから、パターン1も2も別のパレート最適だといえます。
ゆえに、正解は、エ である。