経営法務【平成24年度 第4問】
【平成24年度 第4問】
あなたの顧客であるX株式会社(以下「X社」という。)の代表取締役甲氏からの、X社の組織再編に関する以下の相談内容を前提に、Y株式会社(以下「Y社」」という。)のC部門を独立した1つの会社とする手続きとして最も適切なものを以下の解答群から選べ。
[甲氏の相談内容]
X社では、100パーセント子会社としてA株式会社(以下「A社」という。)を保有している。
一方、Y社では、B部門とC部門の2つの事業を行っており、このうち、C部門の事業はA社の事業と同じである。
X社としては、事業を拡大するため、Y社のC部門を譲り受けたい。
譲り受けるにあたっては、A社とY社では、従業員の処遇に違いがあることから、一度に統合することは難しい可能性もある。そのため。C部門をそのまま切り出して、直接1つの独立した会社とした後に、その株式を譲り受け、A社と同様に、X社の100パーセント子会社とすることにしたい。
〔解答群〕
ア 吸収合併
イ 吸収分割
ウ 事業譲渡
エ 新設分割
組織再編に入りました。組織再編については一通り出題が終えた感があります。そうすると重箱の隅系の問題も想定出来るわけですが過去問レベルの論点をしっかりと理解することが重要だと考えます。重箱の隅系ははっきり言えば他の受験生も難しいと感じるところですのでまずは確実に出来る問題を得点するという方向性で考えていきます。
設問要求を整理しましょう。
Y社のC部門を独立した1つの会社にする手続きを問うていますね。C部門はY社に含まれるものであり、これを独立した会社にするのがポイントです。
相談内容でも、C部門をそのまま切り出して、直接1つの独立した会社にしたいとあります。
実は選択肢の中で、新たに会社を新設する組織再編は、エの新設分割だけです。
仮にアの吸収合併だとすると、C部門だけを譲り受けることは出来ません。Y社全体を(文字通り)吸収することになり、Y社は消滅してしまいます。
イの吸収分割だとすると、C部門をX社に吸収分割することは出来ますが、これではC部門を独立した会社にすることは出来ません。吸収分割だとX社の一部門になってしまうからです。
ウの事業譲渡はC部門だけを譲り受ける形であり、これもC部門を独立した会社にすることは出来ません。
ゆえに残ったエの新設分割が正解になります。
新設分割は完全親子会社を作ることになり、この場合、X社が親会社になります。