自称週末ファーマーの国家試験受験記

自己啓発の延長なのか、自己実現の手段なのか、はたまた意地の張り合いか。生きているうちに“何か”を成し遂げたいから走り続けているような感じがする

第136話 経営情報システム27 経営情報管理

今回から「経営情報管理」ということがテーマになります。
情報システムとかコンピュータってのはそもそもは事務処理の効率化とかを目的として導入されてきた経緯がある。やがて、情報化社会の発展に伴い、そのあり方が移り変わっている。今回はそういった情報システムの変遷といいますか、情報システムのあり方の変遷について概観し、昨今のITに関する用語等を確認する。

1.経営情報システムの変遷
~1960年代  EDPS 事務処理の効率化
1960年代   MIS 意思決定の自動化
1970年代   DSS 意思決定の質的向上を支援
1980年代   SIS  競争優位を図る
1990年代   BPR 既存組織やルールを抜本的に見直す
2000年代~  BI  各種の意思決定に有用な情報を提供する
 細かいことは後述するが、そもそも経営情報資源の一元化・共有化により競争優位を高める目的でシステムが構築されるようになったが、これらのシステムから得られるデータを十分に活用されていないケースも少なくない。情報システムを経営に活用するということは単に業務効率の向上を目指すだけに止まらず、重要なのは経営に必要な知恵を獲得するということである。収集したデータを元に知識を獲得することが重要なわけだ。

①EDPS
 Electronic Data Processing System の略。電子データ処理システムと訳される。1960年代以前から企業における事務処理の効率化を図るために導入されたコンピュータシステムのこと。給与計算、会計処理、売上集計など定型的で処理用の多いものに利用された。
②MIS
 Management Information System の略。1960年代に登場したシステムで、コンピュータによる意思決定の自動化(情報提供のみ)が特徴であるが、期待した効果が上げられずに失敗した。

③DSS
 Decision Support System の略。意思決定支援システムと訳される。DSSは意思決定のプロセスまで支援するもので情報提供だけのMISとは異なる。感度分析などに用いられた。
SIS
 Strategic Information System の略。戦略的情報システムと訳される。競争優位を目指し、合理化に加えて売上増も目指したところにこれまでの情報システムとの相違点が見られる。
⑤BI
 Business Intelligence の略。ビジネス上における企業内外の事実に基づくデータを組織的かつ系統的に蓄積、分類、検索、分析、加工して、各種の意思決定に有用な知識を産み出すという概念や仕組みのこと。今日ではDSS、DWH(データウエアハウス)、OLAP、データマイニングもBIと位置づけられることが一般的となっている。

2.情報システムの役割
 従来は、経営戦略に基づいて情報化戦略を策定し、さらにそれを情報システム全体計画から個別計画と展開していく流れが一般的であった。しかし、企業経営においてITの重要性が高まるにつれ、ITは経営戦略の中で重要な要素という位置づけになってきている。
CIO
 Chief Information Officer の略。情報統括役員と訳される。情報システムの全社的な役割およびその重要性の増加に伴って登場してきた。
TCO
 Total Cost of Ownership の略。コンピュータシステムの導入、維持・管理などにかかる費用の総額のこと。従来、コンピュータシステムのコストは、導入時のハードウエアやソフトウエア導入費用で評価することが多かったが、ダウンサイジングが進むにつれて、導入時よりも運用費用が相対的に大きな問題となっている。システムの投資意思決定をする場合には、導入時費用だけでなく、すべての費用(TCO)を考慮することが重要。

 TCO → 導入時費用だけでなく、全費用を考える

3.内部統制
 分業体系化された組織単位がその組織目標の達成のために正常に活動しているかどうかをチェックする体制や仕組みのこと。内部統制は、組織内部によって設定されるチェックの仕組みである。
①COSO
 the Committee of Sponsoring Organization of the Treadway Commission の略。米国で不正経理が多発したことを受けて、1992年にトレッドウェイ委員会組織委員会(COSO)が発表した内部統制のフレームワーク内部統制の考え方の事実上の世界標準となっている。

 ●COSO → 内部統制に関するフレームワーク

内部統制は、以下に分類される目的を達成するために、合理的な保証を提供することを意図した、事業体の取締役会、経営者およびその他の構成員によって遂行されるプロセスである。①業務の有効性・効率性、②財務諸表の信頼性、③関連法規の遵守、の3つ。
なお、J-SOX法では、上記の①~③に加えて、④資産の保全 が盛り込まれている。

4.ITガバナンス
 企業が競争優位性を確保する目的で、経営戦略と合致したIT投資やIT管理が適切に行われていることをチェックすること。
なお、企業のITガバナンス能力を評価するモデルとして、COBITがある。
①COBIT
 Control Objective for Information and related Technology の略。米国の情報システムコントロール協会(ISACA)が策定した、企業組織内のITプロセスを内部統制するために必要なITガバナンス目標を示した成熟度評価モデル。

 ●COBIT → ITガバナンスに関する成熟度評価モデル
 ※CMMCMMI → PJ組織のプロセス成熟度評価モデル

報化に関わる企業活動全体を「計画と組織」「調達と導入」「提供と支援」「モニタリング」という4つの領域にわけ、さらにそれを細分化した34のITプロセスに分けている。成熟度の評価については、レベル0~レベル5の6段階の評価基準が規定されている。

5.ITアウトソーシング
 ITアウトソーシング(ITO)とは、システム開発作業や保守作業など、コンピュータやインターネット技術に関連した業務を外部企業に委託することである。メリットとしては、IT人材不足への対応が挙げられる。中小企業においては深刻な問題であり、自社で人材を採用、育成しようにも困難である上に費用もかかる。また導入時のIT投資に必要なキャッシュを削減できる。当然にコアコンピタンスへの経営資源の集中が可能なのも言うまでもない。

6.ITアウトソーシングの形態
ホスティングサービス
 ISP(インターネットサービスプロバイダ)や電気通信事業者などのサービス事業者のサーバ領域を一部間借りして提供を受ける形態。

 ホスティングサービス → 相手サーバを間借り

②ハウジングサービス
 ユーザ保有のサーバをサービス事業者の施設内に設置して保守・運用する形態。

 ●ハウジングサービス → 相手の専用施設に自社サーバを設置

ASP
 アプリケーションサービスプロバイダ。インターネットを通じてアプリケーションを提供するサービス形態。

キッティングサービス
 電源を入れればすぐに使えるように情報機器へのインストール作業や各種設定を行うサービス形態。
BPO
 Business Process Outsourcing の略。総務、人事、経理、給与計算関係のデータ出入力を中心とした定常業務を外部企業に委託すること。企業の電話窓口において音声自動応答を行うIVRや、消費者からの問い合わせを受け付けるコールセンターなど、さまざまな形態が存在する。

ずいぶんと散文的になってきたが、ちょっとずつ過去に出題があったところだ。ちょっとずつ出題するところが診断士試験らしい。

続く。