自称週末ファーマーの国家試験受験記

自己啓発の延長なのか、自己実現の手段なのか、はたまた意地の張り合いか。生きているうちに“何か”を成し遂げたいから走り続けているような感じがする

財務会計【平成18年度 第15問(設問2】

【平成18年度 第15問(設問2)】
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

設備などの投資決定において、まず重要なことは、その投資を実施することから生じる将来のキャッシュ・フローを予測することである。
取替投資のような場合は、現行のキャッシュ・フローと、取り替えることによるキャッシュ・フローとの差額(差額キャッシュ・フロー)で考えればよいこともある。表2は現行設備(旧設備)を新設備に取り替えるかどうかの資料を示している。また実効税率は40%とする。この資料によれば、新設備に取り替えるときの投資額(税引後差額キャッシュ・フロー)は( A )万円と算出される。

表2
                   旧設備    新設備
取得原価               500万円   600万円
残存価額               50万円    60万円
耐用年数                 5年     3年
減価償却法                 定額法    定額法
設備取替時までの経過年数                 2年       -
取替時売却価格                  200万円     -

 

文中の空欄Aに入る最も適切な数値はどれか。

ア 348   イ 352   ウ 400   エ 448 

 

 

 

 

 

 

取替投資の問題ですね。初学の頃は何から手をつければよいか分かりませんでしたね。
減価償却は帳簿上で当該設備の価値を減少させていく処理です。この取替投資の問題のように、売却するなんてハナシになれば当然、売却額と帳簿上の残価に差異が出ます。そこんところの扱いをどうするかがポイントなんでしょうね、きっと。
一つずつ紐解いていきましょう。

旧設備は残存価額が50万円(だから10%)とありますね。単年の減価償却費は、(500-50)÷耐用年数5年=90万円。新設備取替時までの経過年数は2年ですから、減価償却累計額は90×2=180万円です。つまり、旧設備は、帳簿上では、500-180=320万円の価値が残っていると考えましょう。
この旧設備は200万円で売却できますから、売却額200-帳簿価額320=△120 となりますね。つまり、120万円の赤字だということになります。
取替投資の世界では、売却時に損が出ることで節税対策になるのですね。タックスシールドとかいいます。
この場合は、120万円の赤字ですから、売却損=120万円。節税効果は、この売却損×実効税率で算出できますから、節税効果=120×0.4=48万円 となります。つまり実際の支払いよりも48万円少なくて済むと考えてください。

次に新設備を考えます。
新設備は取得原価=600万円ですね。今、旧設備は200万円で売却できますから、新設備に取り替える際に必要なCFは取得原価600-売却収入200=400万円。
400万円のCFで新設備に取り替えることができますが、ちょっと待ってください。
旧設備売却時に売却損が出ましたね。
この売却損は節税効果をもたらし、48万円が節税効果でした。48万円支払いを少なくすることが出来ます。
つまりは、400万円よりも48万円少なくて済むということだから、
400-48=352万円が、差額キャッシュ・フローだということになる。
したがって、正解は、イ である。