自称週末ファーマーの国家試験受験記

自己啓発の延長なのか、自己実現の手段なのか、はたまた意地の張り合いか。生きているうちに“何か”を成し遂げたいから走り続けているような感じがする

第52話 経営法務⑥ 株式譲渡制限会社

今回は株式会社の機関設計についてみていくことにする。
株式会社の形態は、大別すると、「株式譲渡制限の有無」「取締役会の設置・不設置」「大会社・大会社以外」に分類できる。

1.株式譲渡制限の有無による分類

(1)株式譲渡制限会社
 株主は、その所有する株式を譲渡することが出来るとされているが、あくまでも「原則」のハナシ。
通常、株式は当該株式会社に払い戻すことができないため、他人に譲渡(売買など)するしか資金を回収することが出来ない。このため、株式の譲渡は原則として自由に行うことが出来るとされている。

 ところが、株式会社でも小規模で閉鎖的な同族会社のような企業で株式譲渡を自由に行ってしまうと、会社にとって好ましくない者が株主になってしまう可能性がある。
そこで、定款に「株式の譲渡による取得について当該株式会社の承認を要する」旨の定めをおくことができる
発行する株式の全部について譲渡制限を定めている会社を「株式譲渡制限会社」とよぶ。

 株式譲渡制限会社では株主総会および取締役を除くすべての機関の設置は任意。以下、ポイントのみを記す。

 ●定款の定めにより、取締役を株主に限定することができる
 ●定款の定めにより、役員(取締役・監査役・会計参与)の任期を10年まで伸長することができる
 ●株主ごとに異なる取り扱いをすることができる

(2)公開会社
 公開会社とは、株式譲渡制限会社以外の会社のことであり、株式上場の有無を示すものではない
つまり、発行する全部または一部の株式の譲渡による取得について株式会社の承認を要する旨を定款に定めていない株式会社を指す。

 ●公開会社 → 株式譲渡制限会社以外の会社

 公開会社では、譲渡制限会社とは異なり、役員の任期の伸長はできない。また、公開会社は取締役会を必ず設置しなければならない。

 ●公開会社 → 役員の任期伸長不可。必ず取締役会設置
       (公開会社は必ず取締役会設置会社となる)

 公開会社における株主総会の招集手続きは、2週間前までに書面または電磁的方法(口頭はダメ)で総会の目的などを記録して行う必要がある。

(3)譲渡制限株式の譲渡による取得の承認
 譲渡制限会社では、当該株式の取得にあたり、承認を要するとされている。承認する機関は原則として株主総会普通決議。ただし、取締役会設置会社では取締役会決議。定款に定めれば承認機関は意外と自由に設計できる。
 株式会社は、承認しない旨の決定をした場合、自己または指定買取人によって当該譲渡制限株式を買い取らなければならないまた承認ふ請求の日から2週間以内に諾否の通知がなかった場合には承認したものとみなされる
 なお、承認請求をする前に譲渡制限株式が譲渡されてしまった場合の承認請求は、新しい株主が承認請求することになっている。

 ●譲渡制限株式の取得 → 承認が必要
 ●承認機関 → 取締役会設置会社:取締役会決議  
        取締役会不設置会社:株主総会普通決議
 ●未承認 → 当該株式会社または指定買取人による買取
 ●承認請求 → その時点での株主が行う。請求日から2週間以内に諾否なければ承認とみなされる

2.取締役会の設置・非設置による分類

取締役会設置会社
 取締役会を設置する会社または会社法の規定により設置を義務付けられている会社をいう。

 ●公開会社 → 取締役会設置会社

 取締役会を設置するには3人以上の取締役が必要。2人以下では設置できない。また取締役会はすべての取締役で組織する。譲渡制限会社の取締役会設置は任意

 ●取締役会 → 3人以上の取締役で構成。取締役全員で構成

 取締役会では、重要な業務の執行の決定を行ったり、取締役の職務の執行の監督をしたり、代表取締役の選定および解職をおこなったりする。また重要な業務の執行の決定にあたっては代表取締役など特定の取締役に委任することはできないとされている。あくまでも原則的に取締役会での決定が求められている。
 取締役会では、代表取締役を取締役の中から選定しなければならない。代表取締役は、取締役会設置会社では選定が義務付けられている。

 取締役会の招集権は原則として取締役が持っている。定款または取締役会決議により特定の取締役に招集権を与えることもできる。一定の条件を満たした場合、株主も招集を請求することができる。また監査役は必要があると認められる場合には取締役会の招集を請求することができ、招集されない場合には自ら招集することができる。

 取締役会を招集する者は、取締役会の日の1週間前(定款で短縮可)までに各取締役(監査役設置会社監査役含む)に開催通知を、口頭・書面・電磁的手段で行う必要がある。なお、取締役全員(監査役設置会社では監査役含む)の同意がある場合は招集手続きを省略できる。

 取締役会の決議について。
 取締役会の定足数は過半数。出席議員の過半数で決議定足数、必要得票数ともに定款に定めることで加重可。また定款の定めにより、議決できる取締役の全員が書面または電磁的方法により同意の意思表示があった場合はそれを取締役会の決議とみなす(書面決議)ことができる。ただし、監査役設置会社において、監査役が当該議案について異議を述べたときは認められない。

 ●取締役会 → 定足数:過半数(定款により加重可)
        書面決議:監査役が異議した場合は認められない

 取締役会の議事録は10年間本店に備え置く。支店への備え置きの義務はない。

 取締役会設置会社委員会設置会社除く)は原則監査役を設置しなければならない。株式譲渡制限会社で会計参与を設置した株式会社は、監査役を設置しなくてもよい。公開会社、監査役会設置会社委員会設置会社は取締役会を設置しなくてはならない

 取締役会設置会社 → 監査役を置く
 ●株式譲渡制限会社 → 会計参与を設置した場合、監査役を設置しなくてよい
 ●公開会社・監査役会設置会社委員会設置会社 → 取締役会を設置しなくてはならない


なんか楽しいね。いろいろあって。続く。