自称週末ファーマーの国家試験受験記

自己啓発の延長なのか、自己実現の手段なのか、はたまた意地の張り合いか。生きているうちに“何か”を成し遂げたいから走り続けているような感じがする

経済学・経済政策【平成24年度 第14問】

【平成24年度 第14問】
下図には、需要曲線と供給曲線が描かれており、市場で決まる「課税前の価格」は
D点によって与えられる。ここで、当該財へ政府が税を課すと、「課税後の買い手
の支払い価格」はA点で与えられ、「課税後の売り手の受取価格」はC点で与えられ
ることになるとする。
この図の説明として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

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〔解答群〕
ア 課税によって生じる負担は需要者(買い手)の方が重い。
イ この財市場の需要曲線は、供給曲線に比べて価格弾力性が高い。
ウ 三角形ABDは、課税によって失う生産者余剰である。
エ 線分BCの長さは、課税によって生じる需要量の減少を意味している。

 

 

 

 

 

 

 

さてこれはさくっと解いていきたい問題ですね。
課税前の均衡点はDですね。課税後の買い手の支払価格、すなわち購入価格はAで示され、課税後の売り手の受取価格、すなわち税金分を控除した価格はCで示されています。
例によって各領域にa~dの記号を付しました。

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選択肢を見てみましょう。
まずはアです。
課税によって生じる税負担とあります。税収は「a+c」で示された部分ですね。もともとの価格は点Dのところですから、線分ABは需要者の増額分で線分BCは生産者の増額分です。ゆえに、需要者のほうが税負担が大きいことが分かります。ゆえに本肢は正しい記述です。
イです。
弾力性は曲線の傾きが緩やかなほど大きく、傾きが急なほど小さいです。
ですから需要曲線と供給曲線の傾きを比較してみましょう。需要曲線のほうが傾きが急ですね。つまり需要曲線のほうが価格弾力性が小さいことが分かります。よって不適です。

次のウは余剰分析の問題です。
消費者余剰、つまり買い手の余剰は需要曲線と価格線に囲まれた部分であり、生産者余剰、つまり売り手の余剰は供給曲線と価格線に囲まれた部分でした。
もともとの価格は点Dのところですから、
消費者余剰は ab (それより上も含めます)の部分です。
また生産者余剰は cd (それより下の部分も含めます)です。
次に課税後の余剰ですが、価格線がそれぞれで異なるところに注意しましょう。
課税後の消費者余剰は価格線つまり点Aのところより上で需要曲線に囲まれた部分です(領域に記号を付していないです)。
課税後の生産者余剰は点Cよりも下の部分で供給曲線で囲まれた部分です(領域に記号を付していません)。
領域 ac は税収にあたる部分、また領域 bd は死荷重を表しています。
よって、△ABDは死荷重にあたる部分ですので不適です。

最後のエです。
そもそも数量は横軸で見ますから、縦軸であるBCは価格差を示しています。だから不適と分かります。課税によって生じる需要量の減少分はBDで示されていますね。
以上により、アが正解である。