自称週末ファーマーの国家試験受験記

自己啓発の延長なのか、自己実現の手段なのか、はたまた意地の張り合いか。生きているうちに“何か”を成し遂げたいから走り続けているような感じがする

第124話 中小企業政策⑦ 組合

ここからは中小事業者による連携や共同化についてみていきます。経営法務でも少し出てきた“組合”っつうのが登場します。

1.事業協同組合
 共同経済事業を行うことにより、新事業展開、経営革新、経営効率化などを図るための組合
<根拠法>中小企業等協同組合法
<設立要件>4人以上の事業
<発起人数>4人以上
<加入・脱退>自由
<組合員割合、従事割合>ナシ
<議決権>1人1票
<組織変更>株式会社になれる

2.企業組合
 個人が創業する際、少額の資本で法人格を取得でき有限責任のメリットを享受できるように考えられた、いわば簡易的な会社ともいうべき組合一企業体として事業を行う
<根拠法>中小企業等協同組合法
<設立要件>4人以上の個人
<発起人数>4人以上
<加入・脱退>自由
<組合員割合>全従業員の3分の1以上が組合員
<従事割合>全組合員の2分の1以上が組合事業に従事
<議決権>1人1票
<組織変更>株式会社になれる

3.協業組合
 お互いの事業を統合(協業)し、事業規模を適正化することで生産性の向上を図ることを目的とする組合
<根拠法>中小企業団体の組織に関する法律
<設立要件>4人以上の事業
<発起人数>4人以上
<加入>組合による承認必要
<脱退>持分譲渡による
<組合員割合、従事割合>ナシ
<議決権>平等だが、出資比例の議決権も認めている
<組織変更>株式会社になれる

4.商工組合(商工会連合会)
 業界全体の改善と発展を図ることを目的とする同業者組合。
<根拠法>中小企業団体の組織に関する法律
<設立要件>地区内で資格事業を行う者の2分の1以上が加入すること
<発起人数>4人以上
<加入・脱退>自由
<組合員割合、従事割合>ナシ
<議決権>1人1票
<組織変更>事業協同組合になれる

5.商店街振興組合(商店街振興組合連合会)
 商店街が形成されている地域で、小売商業、サービス業その他の事業を営むものが、協同して地域環境の整備改善事業や共同経済事業をを行い、構成員の健全な発展に寄与するとともに、公共の福祉の増進に資することを目的としている。
<根拠法>商店街振興組合
<設立要件>30人以上が近接してその事業を営むこと。1地区に1組合のみ
<発起人数>7人以上
<加入・脱退>自由
<組合員割合、従事割合>ナシ
<議決権>1人1票
<組織変更>不可

これら5つを押さえますが、平成25年3月末現在の組合数は多い順番に、事業協同組合、商店街振興組合、企業組合、商工組合、協業組合の順となっている。

え? 覚え方はありますかって?
仕方ないなぁ。これも受け売りだけれど・・・。
語呂合わせです。

『組合事業は商店メンバーじゃダメ、起業してもすぐに焼香、虚業になる』

分かりますか?(笑)

では、これらを踏まえて次の話題に移りましょう。次は“高度化事業”です。

6.高度化事業
 中小企業者が共同で工場団地を建設したり、商店街にアーケードを設置したりする事業に対して、都道府県と中小機構がアドバイスを行いながら、財源を出し合って、長期・低利の融資(設備資金)などを行う事業
高度化事業の特徴は、診断と融資の一体化支援である。

 ●高度化事業 → 都道府県と中小機構

1)高度化事業の種類
 高度化事業には、中小企業者が実施する事業と、第3セクターが実施する事業とに分類される。
①中小企業者が実施する事業
 中小企業者が事業協同組合などを設立して共同・連携して経営基盤の強化などに取り組む事業。これは中小企業者単独では不可とされる。
環境配慮、生産性向上を主眼にした「集団化事業」、店舗を集約化したり、工場を集約化したりする「施設集約化事業、建て替えなど区域全体を整備する「集積区域整備事業」、共同で利用する物流センターや商店街のアーケードや駐車場の整備などの「共同施設事業」などが該当する。
②第3セクターが実施する事業
 地方公共団体と地元産業界が協力して設立す第3セクターなどが、当該地域の中小企業者や企業化を支援するための施設を整備する。地域産業創造基盤整備事業や商店街整備等支援事業がある。

2)診断の実施
 高度化事業は、診断も助言も、がキーワードだから高度化事業計画作成に関して都道府県から助言を受ける必要がある。また作成された計画は都道府県が診断する。また診断・助言は貸付後も随時行われる。

 ●高度化事業 → カネは出すけど、口も出すぜ

3)資金の貸付
 貸付方法には、A方式とB方式とがある。
A方式は、1つの都道府県内で行われる事業に対する貸付方法で、都道府県が中小企業者に貸付を行う。
B方式は、原則として、2つ以上の都道府県にまたがる広域の事業に対する貸付方法で、中小機構が貸付を行う。

 ●A方式 → 都道府県が貸付
 ●B方式 → 中小機構が貸付

対象資金設備資金に限られる貸付限度額はナシ。ただし、貸付割合は原則80%以内。貸付期間は20年以内(据置期間は3年以内)としている。

 ●高度化事業 → 設備資金のみ。上限ナシ、貸付割合80%。期間は20年以内

7.有限責任事業組合(LLP)
 民法上の組合で法人格を持たない
組合員は有限責任であり、出資額の範囲でしか事業上の責任を負わない。出資比率とは異なる損益や権限(議決権)の分配が可能。組合に課税されることはなく、組合員の利益に課税される構成員課税(パススルー課税)が適用される。

 ●LLP → 有限責任パススルー課税

ここまで組合を中心にみてきました。
法務と重複する部分もあったし、高度化事業は論点が明確だから暗記することで対応は可能。

続く。