自称週末ファーマーの国家試験受験記

自己啓発の延長なのか、自己実現の手段なのか、はたまた意地の張り合いか。生きているうちに“何か”を成し遂げたいから走り続けているような感じがする

財務会計【平成23年度 第17問】

【平成23年度 第17問】
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
なお、以下では、市場は完全で、税金や取引コストは存在しないものとする。

 

 E社では現在、今期の配当政策を検討中である。E社は、全額自己資本からなる企業で今期松において現金1,000万円と固定資産9,000万円を保有している。E社の固定資産からは毎期900万円の営業利益があげられており、次期以降も同額の営業利益が期待されている。E社では減価償却費を営業活動維持のために全額設備投資にあてており、また運転資本の増減もなく、減価償却費以外の費用はすべて現金支出であるため、上記の営業利益はフリーキャッシュフローに一致する。E社の現在の株価は100円であり、発行済み株式数は100万株である。

 

(設問1)

 E社が現在保有する現金を全額配当した場合、配当支払い後の株価を説明する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 現金配当を行った場合、株価は配当前と配当後で変化しない。
イ 現金配当を行った場合、株価は配当前と比較して10円下落する。
ウ 現金配当を行った場合、株価は配当前と比較して10円上昇する。
エ 現金配当を行った場合、株価は配当前と比較して20円上昇する。

 

(設問2)

 E社が現在保有する現金を全額配当した場合と1株100円にて当該現金を自己株式の買い戻しにあてた場合とでは、既存株主が得る価値にどのような影響があるか。既存株主が得る価値に与える影響の説明として、最も適切なものはどれか。

ア 現金配当を行った場合と自己株式の買い戻しを行った場合との間で、
  既存株主が得る価値に差異は生じない。
イ 現金配当を行った場合の方が自己株式の買戻しを行った場合よりも、
  およそ10%ほど既存株主が得る価値が高くなる。
ウ 現金配当を行った場合の方が自己株式の買戻しを行った場合よりも、
  およそ10%ほど既存株主が得る価値が低くなる。
エ 現金配当を行った場合の方が自己株式の買戻しを行った場合よりも、
  およそ20%ほど既存株主が得る価値が高くなる。

 

 

 

 

 

なんだかカンタンなようで、難しいような・・・。
与件を確認することから始めよう。
まずは、E社は全額自己資本の企業だという。現金1,000万円、固定資産9,000万円だということは、総資本=10,000万円なんだな。だから自己資本も10,000万円だと考えよう。FCF=900万円なのね。で、E社の株価=100円。発行済み株式数=100万株だということ、か。

じゃ、設問1からいこう。
現金1,000万円を現金配当するのか。そうすっと、現金配当するから総資本は固定資産だけになり、9,000万円になるわけか。貸借平均の原則で、当然に貸方も9,000万円になるっしょ? つまり企業価値(負債価値と株式価値の合計)も1,000万円分減るって理解でいいよな? ってことは、現金配当すると10%下落じゃね?
したがって、イ が正解だ。

次に設問2。
現金配当した場合と、その現金で自己株式を買い戻した場合を比較するのね?
んー。
現金配当しても買戻ししても手持ちの1,000万円はなくなるわけでしょ? 配当した場合は、株主資本=9,000万円となるから株価も企業価値も10%下落するよな。
自己株式を手持ちの1,000万円で買い戻したら、当然に、1,000万円はなくなるわけで、企業価値は10%下落するはずだし、株主資本も9,000万円になるから10%下落するんじゃん。
だから両者には差異はないはずだ。
したがって、正解は、ア だ。