自称週末ファーマーの国家試験受験記

自己啓発の延長なのか、自己実現の手段なのか、はたまた意地の張り合いか。生きているうちに“何か”を成し遂げたいから走り続けているような感じがする

経済学・経済政策【平成25年度 第14問】

【平成25年度 第14問】
 次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

 いま、余暇時間Lと労働所得Yからのみ効用を得るような個人を考える。余暇時
間の増加は、24時間のうち労働する時間が減少することを意味し、賃金率×労働
時間で与えられる労働所得が減少するという関係にある。下図では、この個人が
直面する予算線はJKであり、無差別曲線U1と接する点Aで最適な余暇時間と労
働所得の組み合わせが与えられている。

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 この状態から、政府が労働所得に比例税率αを課したとき、予算線はHKへ変
化し、最適点は、HKと無差別曲線U2が接する点Bによって与えられる。点線
MNは、政府が一括税を課した場合の予算線であり、JKと平行で点B を通るよう
に描かれており、点C で無差別曲線U3と接する。点線WWは、HKと平行で無
差別曲線U1 と点Dで接するような補助線である。

(設問1)
この図に関する説明として、最も適切なものはどれか。

ア 線分HOの長さを線分JOの長さで除した値は、賃金率となる。
イ 線分KOの長さを線分JOの長さで除した値は、労働所得に課される比例税
  率αとなる。
ウ 線分MNが示す一括税は、線分HKが示す比例税よりも、この個人が合理
  的に選択する労働時間を短くする。
エ 点B の税収は、点C の税収と同じである。

(設問2)
政府が労働所得に比例税率αを課すと、最適な余暇時間と所得との組み合わ
せは、点Aから点Bへと移る。所得への課税が余暇時間に与える影響を、「代替
効果」と「所得効果」とに分けた記述として、最も適切なものはどれか。ただし余
暇は、下級財ではないものとする。

ア 「代替効果」は相対的に高くなった余暇時間を増やす点Aから点Dへの変化
  で表され、「所得効果」は点Dから点B への変化で表される。
イ 「代替効果」は相対的に安くなった余暇時間を増やす点Aから点Dへの変化
  で表され、「所得効果」は点Dから点B への変化で表される。
ウ 「所得効果」は点Aから点Dへの変化で表され、「代替効果」は相対的に高く
  なった余暇時間を減らす点Dから点B への変化で表される。
エ 「所得効果」は点Aから点Dへの変化で表され、「代替効果」は相対的に安く
  なった余暇時間を減らす点Dから点B への変化で表される。

 

 

 

 

 

 

 

 

この問題を初めて見たとき、
「この問題は捨てだな」と思いました。難しそうなんですもん。
そんなんじゃ勉強にならないと思いましてこの問題に再度チャレンジしてみます。

自分の理解力と相談しながら記してみます。多少見苦しい説明があればご指摘ください(笑)

まずは問題をよく吟味しないとね。
縦軸に労働所得、横軸に余暇時間をとっています。
最大の余暇時間は24時間ですから、点Kの座標は(24,0)ですね。
いま、時間当たり賃金率をwとすると、点Jは余暇時間ゼロの点だから、座標は、(0,24w)と表せるはずです。
もともとの最適消費点は点Aですね。
政府が労働所得に比例税率αを課したとき、予算制約式はJKからHKにシフト。無差別曲線U2との接点はBに移動。
シフトしたHKと平行な補助線が点線Wです。無差別曲線U1との接点は点Dに移動。
点線MNはJKと平行な線ですが、これは政府が一括税を課した場合で、もともとの予算制約線の平行シフトです。つまり、使える予算の減少に伴い並行シフトしたと考えられます。
そのときの最適消費点は無差別曲線U3と点線MNとの接点ですから点Cです。

これらを踏まえまして設問1の選択肢を見てみましょう。
まずはアですね。
線分HO÷線分JO=賃金率 とあります。
線分HOは比例税αをかけられたときに24時間まるまる労働して得られる所得ですよね。また、線分JOはもともとの制約式がJKですから、比例税αが課せられる前に24時間まるまる働いて得られる所得です。
ってことは、HO÷JO=課税後所得÷課税前所得ですね。賃金率ではなさそうです。よって不適です。
次はイです。
線分KO÷線分JO=比例税率α とあります。
線分KOは余暇時間で24時間です。線分JOはアの肢にあったように課税前に24時間まるまる働いて得られる所得です。
ってことは、KO÷JO=余暇時間÷課税前所得ですから比例税率ではなさそうです。よってイも不適。
ウです。
一括税を課したときのほうが労働時間が短い、ということでしょうか。
一括税は線分MNですね。比例税は線分HKです。
予算制約式をみてみましょう。一括税はMNであり、24時間まるまる働いたときの労働所得は点Mです。他方、比例税はHKであり、24時間まるまる働いて得られる所得は点Hです。これを見ると分かるように、労働所得は比例税よりも一括税の方が高いのが分かります。

次に余暇時間を見てみましょう。
比例税の場合の余暇時間は点Kが示すとおり、最大24時間です。
また、一括税の場合は余暇の最大時間は点Nになります。余暇時間の最大は24時間のはずです。はて?
線分MNは一括税です。課税前、24時間まるまる働くと労働所得は点Jで表されます。一括税を導入すると、24時間まるまる働いても労働所得は点Mに下がってしまいます。つまり、24時間まるまる働くと、線分JMが税としてとられてしまうことを示しています。そうすると、線分KNに相当する労働時間分の所得が税金としてとられてしまうということです。
だから、一括税が導入されると、余暇の最大時間は24-KN時間だということになりますね。
そうすると、一括税が導入されるといやおうなしにKN分働かないといけないわけで、比例税の導入よりも労働時間は長くなることが分かります。
ゆえに、「労働時間を短くする」という記述は不適です。
ということは正解はエでしょうか。
エは、点Bの税収は点Cの税収と同じ、とあります。
点BもCも線分MN上になります。点Bは線分HK上なので比例税のとき、かつMN上の一括税のときの制約式、点Cは一括税のときの制約式です。一括税ですから労働所得の多い少ないに関わらず徴収される税は同じなので本肢は正しい。
ゆえに、正解は、エ である。

ふ~。
しんどいですねぇ。
次は設問2です。所得への課税が余暇時間に与える影響を問うています。
もともとの最適消費点は点Aです。
比例税が導入されて予算制約線がHKとなり、最適消費点が点Bに移ります。
シフトした予算制約線HKと平行な補助線は点線Wであり、無差別曲線U1との接点は点Dです。
ゆえに、A→Dが代替効果、D→Bが所得効果です。
比例税が導入されると、余暇時間が増加し(労働時間が減少し)、労働所得も減少します(代替効果)。あんまり余暇時間ばかりあってもカネがなくなるので労働時間を増やそうと(余暇時間を減らそうと)します。労働時間を増やしても労働所得は減ってしまいます(所得効果)。
これを踏まえて選択肢を検討します。
まずはア。
代替効果では余暇時間は増加しています。これは相対的に安くなったからです。スルツキー分解では価格が下落すれば量は増えると考えますからね。
代替効果はA→Dで、所得効果はD→Bは正しい記述です。ゆえにアは不適。

次はイです。
アの記述とは反対に相対的に安くなったとあります。安くなった財の消費は増加します。後段の記述も正しい記述であり、ゆえに正解はイということになる。
ウおよびエは、
所得効果はA→Dは不適。A→Dは代替効果であり、D→Bは所得効果。
以上により、正解は、イ である。


設問2のほうがカンタンでしたね。